世界でも有数の災害大国、日本。災害や事故はいつ、どこで起きるかわかりません。まずは、“事前の備え”として、日々の暮らしを少しずつ見直すことから始めましょう。
家族の安全を確保するために普段から意識しておきたいこと、そして災害が起こった直後、命を守るために“すぐにすべきこと”とは?
“危機管理のプロ”である自衛隊が、実体験をとおして身につけたテクニックを集めた動画番組『ライフハックチャンネル』担当の陸上幕僚監部・林田賢明3等陸佐に教わりました!
自衛隊が推奨!災害前後にやることチェックリスト
●災害前
・自宅の家具の配置を見直す
・避難場所を確認しておく
・外出先では非常口、非常階段の位置を把握する
背の高い家具は、転倒や中のものが落下すると避難経路をふさいでしまう危険も。胸よりも低い位置のものを選び、ものを高く積み上げないよう心がけましょう。
また、自宅エリアの避難場所およびそこまでのルートは、家族全員で実際に足を運んで確認することを怠らないように。
●災害後
・ものが落ちてこないか上を確認
・落ち着いたら建物の出口を探す
・料理中なら火を消す
・睡眠時ならドアをあける
・スーパーの陳列棚から離れる
地震の際は、落下物から身を守るため「上を見て頭を守る」、揺れている間は動かず、収まってから「出口に向かう」のが鉄則。
「誤った判断、行動は危険を招くことも。二次被害を生まないためにも、ガスの元栓を閉めたり、ブレーカーを落としてから外に出ましょう。ケガを避けるため、しっかり洋服を着たうえで、履き物を履く(スリッパでも可)のも忘れずに」
ここまでできたら完璧!ケガ人を救う防災術
負傷者のダメージを最小限に抑えつつ、安全を確保するスペシャルなテクニックを2つご紹介します。介護などの場で役立つことも。
●身近なものを添え木にする
すべての画像を見る(全6枚)骨折の疑いがあってもすぐに病院に行けない場合は、とにかく患部を固定して安定させることが重要。添え木は固定さえできればなんでもいいので、その場にあるダンボールや板きれ、傘などでもOK。
「動いたり外れたりしないよう、テープはしっかりと巻きましょう」
●1人でも傷病者を安全に運ぶ方法
傷病者の意識がない場合は、傷病者の体を肩にのせ、足を抱えて運ぶ「消防士搬送」が便利。その際、傷病者の体の重心(へそ)を自分の首の後ろにのせるのがコツです。
意識がある場合は、腕をしっかり組みながら背負って運ぶ方がラク。
1:傷病者をあお向けにする。一方の手は頭上に伸ばし、もう一方の手は曲げてあごの下にもってくる。
2:傷病者をうつぶせに寝かせる。このときひざで傷病者の体を支えるようにすると体を返しやすい。
3:傷病者の体をまたぎ、脇の下に両手を入れひざをついた姿勢になるように起こす。
4:傷病者を支えながら、前に回り、腰を抱えて、傷病者の体を持ち上げる。
5:傷病者の足を開き、右足を股の下に入れる。傷病者の右手首を引っぱり頭の後ろに引きながら、傷病者の体を肩にのせる。ゆっくり立ち上がり、右手で傷病者のひざと手首を抱えて運ぶ。
<協力/自衛隊(防衛省)、『MAMOR』編集部(扶桑社) イラスト/鈴木衣津子 取材・文/ESSE編集部>