災害や大規模な事故などの非常時、いったいどのような行動をとれば自分や家族の安全を守れるのでしょうか。
ここでは“危機管理のプロ”である自衛隊が提唱する、生き残るための防災術をご紹介します。
教えてくれたのは、自衛隊が、実体験をとおして身につけたテクニックを集めた動画番組『ライフハックチャンネル』の陸上幕僚監部・林田賢明3等陸佐です。
覚えておきたい!自衛隊が教える、生き残るための防災術
災害発生時はもちろん、海や山などで危険に巻き込まれたとき、実践したいのがこちら。キャンプなどでのトラブル時にも重宝します。
●テントがないときに野宿するワザ
すべての画像を見る(全7枚)落石の心配がない岩かげ、背丈が低く根がしっかりとはった木の下など、雨風から身を守れる場所にじっと座り、空が明るくなるまで動かず待つことが最善策。
「地面に体温を奪われないよう落ち葉などを敷き、カッパなどを着て防寒対策も怠らないように」
●移動距離を自分で把握する方法
自衛隊では、隊列を組んで歩く際の1歩の幅は75cm(女性は70cm)、1分間の歩数は106~120歩と決まっていて、歩幅75cm、1分間の歩数106歩で1時間歩くと4.8km進む計算に。
「自分の歩幅を知り、日頃から歩数を意識して歩くと、移動距離や時間が予測できます」
●足のマメの正しい潰し方
まずはマメとその周辺を石けんでしっかり洗い、熱して殺菌した針でマメの下部を刺して潰し、中の水分をすべて出してからばんそうこうをはります。マメの皮膚が残っている方が治癒しやすいので皮はむかず、ばんそうこうを剥がす際も皮が剥がれないよう注意して。
●靴ずれ防止にベビーパウダー
かかとや足の指先に痛みや水ぶくれが生じる“靴ずれ”は、靴との摩擦が原因。あらかじめ靴が当たりやすい部分にベビーパウダーをかけておくと、表面にサラサラの膜ができて摩擦を少なくすることができます。同様に、靴下に少量のシャンプーを塗ってもOK。
●火災が起きたときにやってはいけないこと
火災中に水をかけて消火してはいけないものも多く存在します。たとえば、燃えている油に水をかけると爆発する恐れがあるし、漏電などの電気火災も水をかけると感電のリスクが高まります。原因に応じて冷静な判断を心がけて。
鍋などに入った油が燃えた場合は、消火器や防災砂をかけます。絞った濡れタオルを鍋にかぶせ、空気を遮断して消火する方法も。
電気タップが燃えていたら、まずはブレーカーをきります。そのあと、火がついている箇所に布などをあて、空気を遮断して消火します。
●水難事故に巻き込まれたときの対処法
身近にあるものを“浮き”にし、体力の消耗を極力抑えながら救助を待つのがベスト。空のペットボトルがあれば、あお向けになって胸とおなかの間で抱え込み、静かに体勢をキープすると顔を水面から出せる程度に浮くことができます(浮力を得る目安は1.5リットル入りなら1本、500ml入りなら2本)。
溺れている人を助けたい場合、ペットボトルに少し中身を入れると遠くへ飛ぶようになります。ほかにも、洋服の上着やズボンも空気を入れることで浮きの代わりに。
●山で遭難したときの対処法
なにより、救助の航空機に“見つけてもらう”ことが最善策。下山するよりも、とにかく高い場所に移動して周囲を見渡し、遠くからでも目につきそうな目印を探しましょう。
そのあとで、自分の存在を知らせる合図や救助サインを。鏡(なければ金属やガラスでも可)に太陽光を反射させれば、居場所を知らせることができます。また、その際、鏡の角度をヒラヒラと変えて光が点滅しているように見せるのがポイント。ほかにも、夜間はたき火で知らせることも有効です。
<協力/自衛隊(防衛省)、『MAMOR』編集部(扶桑社) イラスト/鈴木衣津子 取材・文/ESSE編集部>