災害や大規模な事故などの非常時、先頭をきって支援活動を行う自衛隊。“危機管理のプロ”である自衛隊が、実体験をとおして身につけたテクニックを集めた動画番組『ライフハックチャンネル』が話題です。
「皆さんの普段の生活に役立てていただくのが番組のコンセプト。緊急時、女性が家でもあわてずに自分と家族の身を守れる実用的な防災術が満載です」(番組担当の陸上幕僚監部・林田賢明3等陸佐)。
ここでは、林田さんに、厳選した簡単ですぐに実践できる“スゴ技”を紹介してもらいました。もしものときのために、ぜひチェックしてみてください。
自衛隊が教える!生活に役立つ防災術
生活の知恵を生かした、非常時を乗りきるテクニックが満載! 普段の暮らしに取り入れれば、家事や収納もスムーズになる効果も。
●ツナ缶やバターがろうそくの代わりになる
すべての画像を見る(全11枚)ツナ缶(オイル漬けタイプ)のフタの中央にクギなどで穴をあけます。ここに布製のひも(たこ糸など)を数センチ分差し込んで立て、油がひもの先端までしみ込んだら火をつけるだけでろうそくの代わりに。
バターやマーガリンは角切りにして倒れないよう固定し、ツナ缶と同様に中央に穴をあけひもを通して使います。
●災害時に重宝する疲労を回復するスイーツ缶
甘いものは災害時の栄養補給、疲労回復に加え、心のケアにも効果的。
「ケーキなどのスイーツ缶のほか、糖分が多く、賞味期限の長いようかんもおすすめ。保存食としてぜひ常備してみて」
●缶切りがなくても缶詰をあける方法
缶詰のフタ面の、ふちが立ち上がった部分をコンクリートブロックやレンガなどにこすりつけて削ります。
「中身の汁がにじみ出てきたら、フタが離れ始めたサイン。缶の側面を強く押すと、フタが外れます」
●自衛隊式パッキングで荷物がコンパクトになる
自衛隊員はときに20kg以上もの荷物を背負って任務を遂行することも。携行荷物を「背のう」(リュック)にコンパクトに収納しつつ、防水、防臭もできるテクは、子ども連れの外出にも役立ちます。
ペットボトルは靴下に入れて収納。靴下がすべり止めになり、スーツケースなどの収納具の中で動き回ることが少なくなります。
ゴミを入れた袋は、上からビニールテープでぐるぐる巻きに。小さく丸めることでスペースもとらず、においや液もれも防止。
衣服の収納には密封できる冷凍用保存袋が便利。水に濡れるのが防げるうえ、空気を抜いて圧縮できるので、かさばらずに運べます。
●重い物をラクに持ち上げるコツ
まず片方のひざを地面につけてしゃがみ、右手と左手が対角線になるように荷物を持ちます。そのまま、ついたひざを支点にして立ち上がると、その勢いで荷物を持ち上げることが可能に。この持ち方だと体に荷物が引き寄せられて安定します。
●防寒用に使える100円ショップのカッパ
極寒の地での任務中、欠かせないのがビニール製の薄手のカッパ。肌着にカッパを重ね、その上から服を着るとサウナスーツ効果でホカホカに!
「100円ショップのリーズナブルなカッパでも十分な保温効果が得られます。動くとすぐ温かくなるので注意して」
●“首”を隠せば寒い日でも体が冷えない
首、手首、足首は、動脈が皮膚に近いところを通っているため、効率的に体温調整を行うことができます。とくに太い血管が通っている首は、肌の露出を最小限にしてマフラーなどでおおうと保温効果が高まり、体温低下の予防に。
服を重ね着するより、3つの“首”の防寒を心がけましょう。
●ストッキングで靴がピカピカに
繊維がやわらかく生地の表面が細かいストッキングは、靴みがきに最適。使い古しでOK。
「汚れを落とした靴にクリームを塗り、乾いたら仕上げにストッキングでみがきます。自衛隊員ならみんなやっています」
●地面に触れるだけで静電気が防げる
不発弾などの処理を行う自衛隊員にとって、作業中の静電気予防は必須事項。
「対策は非常に簡単で、地面に両手を触れるだけ。地面に静電気が逃げていき、不快なバチバチやくっつきを抑えることができます」
<協力/自衛隊(防衛省)、
『MAMOR』編集部(扶桑社) イラスト/鈴木衣津子 取材・文/ESSE編集部>