●3:施設に入居した母の「うれしかった言葉」
その後コロナ禍になり片づけが中断したまま母は施設に入居し、実家の片づけは「家じまい」に向けて私がひとりでやることになりました。
当初は母が洋服や日用品の不足分を取りに戻ってくる可能性があったので、それらをすぐ取れるように収納し直し。実際に母が荷物を取りに戻ったあとで、電話でこう伝えてくれました。
「一か所にまとまっていたので動きまわらなくてすんでラクだった」
「キレイに収納されていたからすぐ見つけられた。」
「こうしておけばよかった」
それを聞いてとてもうれしかったです。母が病気になった時点でこの状態まで片づけられていたら、もっと体への負担が少なくラクに過ごせていただろうなと複雑な気持ちもありましたが、それでも片づけてよかったと思えました。
すべての画像を見る(全4枚)キッチンの消耗品は整理して4段の引出しにキレイに収納しました。
数か所に分散していた洋服もひとまとめに。アイテムごとに引出しに収納し、ラベリングをしました。
●4:高齢者宅の片づけは「より快適に生きるため」に
片づけの仕事をしていて高齢者の場合、このような問題があると感じています。
・片づけようにも片づける体力がない。日々暮らすだけでやっと。
・人に家に入られることを嫌がる。
・場所が移動すると新しい場所を覚えられず、むしろ混乱する。
・子ども世代と価値観が違う。
・そもそも片づける必要があると思っていない。
子どもはよかれと思っても、親が片づけを拒否したらそれ以上は強く言えません。ただ母の口からも出たように、片づけると暮らしはラクになり生きやすくなります。
片づけを「自分のもしものときと向き合うこと」と捉えてしまうと、怖かったり悲しかったりでやる気が起きないでしょうが、そうではなく「より快適に生きるために」と捉えて、できるだけ病気や体に不自由が出る前にスタートさせてほしいと思います。
この記事が実家の片づけで悩む親世代、子世代両方の参考になれば幸いです。