作家・作詞家として活躍する高橋久美子さんによる暮らしのエッセイ。今年もやってきた梅の季節。「梅子と言えば私」というほど梅仕事に没頭する高橋久美子さんの今年の梅の様子をつづってもらいました。

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暮らしっく
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前回書いたときはまだ青梅だったけれど、2週間の間に落下する梅も黄色く熟してきた。いい感じいい感じ。青梅では梅肉エキスを作ったけれど、今回は梅の第2ステージへ。

「私も梅漬けてみたい! ぜひ連れてってください」

と、最近は梅の世界へ飛び込む友人たちが現れはじめた。

「よーし! この日に梅採集を決行しよう」

ということで、5月の末、友人たちが袋を持って私の梅スポットにやってきた。いつもは一人で黙々と採るけれど、仲間がいるとピクニックのようで楽しい。私のおすすめ場所のうち2か所は広場なので自由に入っていいけれど、もう1か所はご近所さんの庭なので、事前に友人を連れてきていいか尋ねると、快く「どうぞどうぞ」と言ってくれた。この家のおばあさんはもはや梅友達で、昨年は自作の梅シロップをいただいたりもした。

梅は木によって味が違う。中には、苦味が強くてシロップには適さない梅もある。種類や日当たりでも違うし、みかんと同じく樹齢によっても。おばあさんの家の梅は70年を越えた老木で、まろやかで香りもよく奥深い味わいだ。

梅ひろい

「わー! めちゃくちゃ落ちてる。青い方がいい? 黄色いのも大丈夫?」

「うん、割れて虫が入ってるの以外はどれも採って大丈夫よ」

完熟梅が落ちることを虫たちも心待ちにしている。梅子(6月の私の名前)的に、ここ数年梅を漬けまくって思うことは、青梅と黄色い梅、さらに柔らかくなった完熟梅を使い分けよ!

●梅の使い分け方

青梅はブランデーや焼酎などのお酒につけると、氷砂糖とともに時間をかけてじんわりエキスが出て美味しくできる。一見、黄色い方が美味しくできそうなんだけど、何年か後に飲んでも黄色より青の方が香りも味も良いのだ。じわじわ熟していくからかな。梅シロップも同じ原理で、青い方が適している。

あとは、ホワイトリカーでつけるとどうしてもアルコールっぽさが残るので、私はブランデーや麦焼酎で漬け、一年以上寝かす。私の実験ではアルコール度数が20度あれば問題ない。砂糖の半量を黒糖にするのもおすすめ。ちなみに、砂糖の量も年々減らし限界値の6割に達した。お酒に対し梅の量は多めに入れたりと毎年実験ノートをつけている。

梅干し

黄色く熟した梅は、即効性のいる梅干しが向いている。黄色い梅ならば10%の塩分濃度で大丈夫だ。ただし、完熟ということは腐る手前なので、すぐに梅酢が上がってこなければ困る(梅酢に浸かれば腐る心配はない)。

重し

そのための重しだ。琺瑯の鍋に黄色い梅を入れて梅の重さの10%の塩をかけ、平皿を逆さまに蓋をするように置く。その上に私は前年漬けた梅干しとか梅酒の瓶をでーんと載せる。そうすると2日もすれば梅酢が上がってくる(鉄製容器は使わないこと)。これが青梅だったら、なかなか梅酢が上がらないから、結局塩分濃度を上げたり他の調味料を入れることになる。