いくら備えておけばいいのか、老後資金について漠然とした不安を抱える人は多いもの。ここでは団地にひとり暮らしをし、1か月の予算12万円でやりくりをしている54歳のきんのさんの暮らしを紹介します。

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築50年の団地で始めた、月予算12万円の小さな暮らし

54歳、ひとり暮らしのきんのさんは、築50年超えの団地に住み替えたことを機に、老いじたくを意識するようになりました。『1か月15万円以下の心ゆたかなひとり暮らし』(扶桑社刊)では、1か月の予算12万円で暮らすきんのさんの節約の工夫を紹介。同書の記事を抜粋し、年齢に合わせて、住まいや仕事、ライフスタイルを見直してきたきんのさんのヒストリーを紹介します。

●母の介護のために都内の分譲マンションから団地に転居

家の中にいる女性
きんのさん
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老いが見え始めた母に寄り添おうと、都内の築浅マンションを売り払い、千葉県郊外の築50年超えの団地に住み替えたきんのさん。苦渋の決断でしたが、今は後悔していないそう。
「壁紙や床を好みの色にし、フルリノべーションで憧れの広いキッチンを手に入れられたのも、中古の格安物件だったから。マンションの35年ローンからも解放され、生活コストが下がったことで、職業の選択肢も広がりました。おかげで、給与は高いものの通勤に時間がかかる前の勤務先を辞める決断ができるように。今の職場は、自転車で通える距離で、ワークライフバランスが取れています」

団地生活の魅力を伝えようと始めたブログでは、月12万円と設定した予算のなかで、趣味のDIYや陶芸にいそしむ、満ちたりた暮らしが綴られています。

「お金を使わない、と考えるのではなく手持ちのお金をどう使ったら自分なりに楽しく暮らせるか試行錯誤するのが好き。自分が大切にしたいことにはお金も時間もかけ、それ以外は適当にズボラに(笑)、過ごしています」

●離婚、マンション購入、介護の道へ…。きんのさんのライフヒストリー

さまざまな人生経験を経て今の住まいに落ち着いたきんのさん。お金の面からこれまでの足跡を振り返ります。

■37歳の頃:離婚してURへ転居。派遣から正社員へ

37歳で離婚。当時の貯蓄額は100万円程度。派遣社員のため、割安な賃貸アパートを借りる。その後正社員に転職し、給料アップ。コスパのいいUR賃貸に住み替え、節約しつつマンション購入を目指す。

■40歳の頃:都内の新築マンションを購入

キッチン

高齢の母が賃貸物件になかなか入居できない姿を見て、“ついのすみか”の購入を決意。節約しながらコツコツ貯めていた住宅用資金から200万円ほどを頭金にし、35年ローンでマンション購入に踏みきる。

■49歳の頃:母の介護をきっかけに団地へ転居

リノベーション前の団地の部屋
リノベーション前の団地の部屋

認知機能に衰えが見え始めた母の介護のため、マンションを売り払い、母の住む団地内の分譲住宅に引っ越し。カビが生えていたり、壁紙がはがれていたりとボロボロだった部屋をフルリノベーションで自分好みに改装。

■51歳の頃:介護福祉士の資格を取って転職

転居で通勤時間が往復3時間になり、残業も多かったため、介護と両立できる仕事に就くことに。ハローワークの職業訓練制度を活用して介護の専門学校に2年通い、介護福祉士に。正社員として働き始める。