「こんなときどんな服を着ればいいかわからない」のあるあるなお悩みに合わせたアイテムやコーディネートを、30~40代の今を生きる3人の個性豊かな女性の日常とともに紹介していきます。第21回は「ジレ」の着まわし。一見ハードルが高いアイテムに感じますが、小さなコツで今っぽく、おしゃれに着こなしが可能。ベーシックな服装が得意の主人公・ミキに当てはめて紹介します。

◆前回のお話はコチラから◆

40代・白スニーカーのはき方。カジュアルになりすぎない小さなコツ

“きちんとさ”が欲しい行事の日に

●4/22 土曜日 PM6:00。夫とディナーデート

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ミキ:子どもたちを義母に託して夫と数年ぶりの2人きりデート。この間の大きな喧嘩のあと、たまには2人で出かけようと提案した。「ミキの行きたいところに合わせるから」と丸投げされてちょっとははりきってよと思ったけど、ありがたく受け止めずっと行ってみたかった高級フレンチを予約した。毎日顔を合わせている夫なのに、改めて2人きりになるとぎこちなくて、ちょっと面倒で、でもうれしい。

せっかくのデートだからちゃんとおしゃれをしたかった。かといって服を新調するのも照れくさい。最近買ったジレを、手持ちの黒のワンピースに合わせたら何度も着ている服なのに見違える。パールのネックレスとメリージェーンのパンプスを合わせてクラシカルに仕上げた。カラーもののバッグで春らしさも添えて。夫もよそゆき用に大事にしている春物のセットアップを着てくれていた。おしゃれするだけで、二人の間に流れる空気も変わるものだな。

私のパート先でのこと、マユミとサオリのこと、隼人(息子)が色気づいてきたこと、娘もおしゃれに目覚め始めたこと、義母が子どもたちの教育になにかと口をはさんでくるようになった…という話は口元まで出かかったけれどやめて、子育てが落ち着いたら二人でどんな生活をしていこうかと前向きな話に変えた。

夫は若い部下にバカにされないようにと話題の動画を見たり、長い話は嫌われると手短に話す練習をしていたり、地道な努力していることを知った。「僕くらいの年齢になると実務より気配りのほうが仕事になってくるなぁ」と笑っていたけれど、少し疲れた顔が見えた気がした。「仕事、無理してない?」と聞いたら、少しの間があった。「子どもたち、これからますますお金がかかるから無理しないと」。

「子どもたちも自立してきているし、私もまたいつでもフルタイムで働けるなとは考えてるんだよ」と言ってみたら、安心したような顔をした。その場しのぎの答えじゃなくて、ここ最近ぼんやり考えていたことだった。老後のため、子どもの教育費のためもあるけれど、なにより自分がまた、ビジネスの場に出たい気持ちがあった。

「ゆっくり話さない間に、お互い思いもしないことを考えて過ごしていたんだね」。これからは定期的に2人の時間を作ろうと約束し、久しぶりに手をつないで帰った。「今度は温泉旅行がしたいな。来月行かない?」とリクエストしたら、夫も笑ってくれた。