2019年には、公的年金だけでは老後資金が不足すると騒がれましたが、物価が上昇している今、一体いくら蓄えておけば安心できるのでしょうか。ベストセラー『女性の品格』を世に送り出した昭和女子大学・総長を務める坂東眞理子さんに、お金の悩みについてアドバイスをしてもらいました。
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老後の資金に住まい問題。将来のお金の不安を軽くするためにできることは?
物価上昇や収入源、老後資金がたりるかなど、もっとも多かったのが老後を含めたお金の不安。住まい問題に悩む人も…。これから世代のお金の悩みに答えていただきました。
●読者のお金の悩み
・夫の定年、母の介護...。老後の蓄えがたりるか心配です
「実母が介護施設に入居。今は母の年金内でやりくりしていますが、夫は定年を迎え、再雇用の身。昨今の物価高や値上げにも冷や冷やです」(67歳・専業主婦)
・夫が亡くなり、一人暮らしに。自分の収入だけで暮らせるか不安...
「夫が病気で先立ちました。家族で暮らしていた家は修繕費だけでも大変。子どもの近くに転居しようにも、お金の心配が募る一方です」(57歳・自営業)
・近い将来、実家を手放す予定。賃貸暮らしを一生できるでしょうか
「実家暮らしですが、母親が亡くなったら、実家を処分して賃貸生活にする予定。独身で貯金も給料も少なく、一生住み続けられるか不安です」(58歳・会社員)
●【坂東さんアドバイス】老後のお金を心配しすぎるより「その後の人生の過ごし方」を考えて
2019年に、公的年金だけでは老後資金が不足すると騒がれた「老後2000万円問題」。でも、あれは物価が安定している時代の話。物価が上昇している今では、さらに不足分がふくらむかもしれません。とはいえ、この先、何万円を貯めておけば安心ということは、ありません。その不安を少しでも軽くするために考えるべきは、お金をどう守るかではなく、あなたがどう過ごしていくか。具体的には、自分が何歳になっても「私が、稼ぐんだ」と覚悟を決めて働くと意志をもちましょう。
「公的年金のサポートもあるし、夫が稼いでなんとかしてくれるだろう」と、他人をあてにしてはいけません。自分が描いていた未来が思いどおりに行かなくなることは十分ありえます。夫が病気になって突然働けなくなったり、亡くなる可能性だってゼロではないのです。
・今までに以上に外に目を向けること
私たちは不測の未来に対して100%備えることはできないと「覚悟」をするべき。貯金をどう守るかではなく、この先も健やかな心身を維持し、どう稼ぐ能力を保つか考えること。起きていない未来を心配しすぎるより、今を充実させ、自分で食べていく力をつけることを考えましょう。
50代以降は、家庭だけに目を向けるのではなく、今まで以上に外に目を向け、社会に役立つような「やるべき」ことを見つけて、外へ踏み出すときです。定年後はお友達と趣味や旅行…は、もう少し先のお楽しみ。体が元気なうちは、福祉や介護の仕事に関わるなどして働いてみましょう。わずかながらでも報酬を得られれば、それが生きる活力にもなるし、将来のお金の不安だって軽くできます。
『これからの暮らし by ESSE vol.04』では今回紹介した以外に、50代~70代の暮らし達人が「買ってよかったもの、ずっと大切にしたいもの」や、老後のお金の不安まるごと解決、飛田和緒さんとめぐる「大人の湘南・鎌倉」、坂東眞理子さんの人生お悩み相談、糖質オフ2品献立、自律神経整え習慣など50代以上の暮らしに沿った情報が満載。