――作品では夫も料理を楽しんでいる様子が描かれていますが、もとは全然料理をしなかったとのことで、驚かされました。
大町:もともと自分が食べるものに関しては栄養バランスも気にせず、インスタントラーメンにおもちを乗せたものを食べながら『ジョギングしてるのにやせない~』とぼやいているくらいでした(笑)。「毎日から揚げでもOK」というタイプ。
そんな夫が料理を始めたきっかけは、私の妊娠中の体調不良です。つわりはそこまでひどくはなかったのですが、おなかの張りなどもありキッチンに立つのがつらくなってきて料理どころではなかったのでお願いしたんです。
妊娠前には料理担当は私だけで問題なかったのですが、産後のことも考えて夫にもこの機会に料理をできるようになってほしいと思って。ただ、つくってもらえるのはありがたいのですが、毎回シンプルな野菜炒めとかになりがちで…。出産後、夫が料理をする機会がさらに増えたので、「もう少しおいしいごはんをつくってほしい」とお願いしました。
――そういったお願いをするのは、夫婦でもコミュニケーションが難しい印象です。
大町:夫も最初「君のレベルに合わせるのは無理だよ」と渋っていましたが、『私もたいていレシピを見てつくっているから』と伝えて…。夫はやると言ったらやる人間なので、一念発起したあとはチンジャオロースーにヒレカツ、ブリの漬け丼、さらにタルトタタンまで焼けるように! 私としても譲れないお願いだったので、かなり真剣に頼んだ結果、今の状態になりました(笑)。
●「大変なのは自分だけじゃない」。励まし合うような気持ちで作品を読んでほしい
――コロナ禍がとくに激しい頃の妊娠・出産・新生児の育児を経験した大町さん。その後、どうやって落ち着いた暮らしを取り戻したのでしょうか。
大町:2022年の春、子どもが1歳になったタイミングで保育園へ預けることができました。そうして子どもを家の外へ出してみると、もう次から次へと熱を出して帰ってくるので、これは気にしていても仕方がない、これが普通の状態だよねと、ナーバスになっていた心が保育園の洗礼によって鍛えられました(笑)。
初の妊娠・出産に新型コロナウィルスの流行、そして緊急事態宣言がぶつかり、私のように心を揺さぶられたり、生活のリズムがつかめずに右往左往してしまった方は多いと思います。『ハラがへっては育児はできぬ』が、手探り状態なのは自分だけじゃなかったんだ、と、ほっとしていただける漫画になっていたら嬉しいですね。
明日公開のインタビュー後編では、2歳の子どもがいるライフスタイルについて伺います。お楽しみに。