国によって子育ても親子関係もさまざま。日本とはどう違うのでしょうか? ここでは、フランスと日本の親子関係の違いについて、フランス生活文化研究・翻訳者のペレ信子さんが教えてくれました。

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50代の子育て。フランスと日本の親子関係の違いって?

うちには子どもが3人います。といっても長男は就職して独立し、長女はパリで大学生。家にいるのは高校生の末っ子だけです。
50代頃になって子育てはひと段落、というのは日本もフランスも同じ。でも周りのフランス人家庭を見ていると、その親子関係は日本とちょっと違うみたいです。

 

●「フランスでは18歳になると家を出て暮らす」は本当?

街並み

日本とフランスの文化の違いを書いた本などを読むと、よく「フランスでは18歳になると家を出て一人暮らしする」と書いてあります。なぜ18歳かというと成人の歳だからです。基本的にはやはり、親元を離れて一人暮らしというのが一般的です。

では、18歳になった途端に家賃や生活費を自分で払えるようになるのでしょうか? 私の知るところではパリのような物価が高い都市では、親と住み続ける18歳以上の若者が多いようです。
国立なら大学はほぼ無料で、親の収入によって奨学金も出ますが、18歳の大学生が生活費をすべてまかなえるほどのアルバイトをするのは不可能です。

日本では大学を卒業して就職した後でも、親と同じ街にいる場合はそのまま同居することも多いですが、フランスでは少しでも早く独立したいと願う子どもたち。経済的に余裕ができればすぐに自分の城を夢見て巣立っていきます。
完全に自立できなくても、学生のうちは親に援助してもらいながら一人暮らしをする場合も多いです。

 

●18歳で子どもが巣立っていかないとどうなる?

部屋

2001年にフランスで公開された映画「Tanguy(タンギー)」。フランスでは珍しい、なかなか親元を出て行ってくれない28歳の息子とその両親の姿を描くコメディー映画です。
大学院に通うインテリの息子は家のことはなにもしないし、甘えっぱなし。とうとう母親が耐えられなくなって息子を追い出す作戦に…というストーリーですが、フランスでは大ヒットしたものの、日本では未公開。
「子どもとの同居がもう耐えられない!」というお母さんの叫びに多くのフランス人ママは共感しても、日本では理解されないと判断されたのかもしれません。

普通フランスでは大人になれば子どもは自分の城を持ちたいし、親は解放されて自分の生活ペースを取り戻したいと考えます。
不景気と新型コロナウィルスによる自宅待機の期間を経て、フランスでも親元にいる子どもが増えてはいるようですが、とある調査によると70%以上が親と同居する日本に対して、フランスは35%だそうです。