ハウスメーカーで家を建てる場合、建築費を抑えるには、極力オプションは採用せずに標準仕様のなかから選ぶ方法が有効です。しかし、「目先の安さ」を過剰に重視するのも考えもの。3年前に標準仕様のセミオープンキッチンにした日刊住まいライターは、いざ使い始めてみると、思い描いていた理想とは違い、不満点が続出。後悔していることをレポートします。
すべての画像を見る(全8枚)追加料金がかからないようキッチンの仕様はすべて標準に
わが家は夫婦と娘2人、ネコ2匹が暮らす共働き一家。3年前にハウスメーカーで家を建てました。家づくり際、あまりキッチンの仕様を重視せず、「とりあえず掃除がしやすく、汚れが落ちやすければいい」くらいの感覚でいました。
標準仕様で選べるのは、LIXIL、タカラスタンダード、EIDAIの3社。ホーローキッチンが掃除しやすそうと、タカラスタンダードを選びました。シンクはステンレス、ワークトップはポリエチレン製の人造大理石、レンジフードはいちばんグレードの低いものです。
オール電化住宅のため、熱源はIHクッキングヒーターを採用。これも標準です。つり戸棚は「ありなし」が選べました。ただ、なしにすると収納が減ります。また、別の場所に収納をつくると、オプション扱いになり追加料金が発生するとのこと。そのため、つり戸棚は「あり」にしました。
シンクはオプションで人造大理石にする選択もありましたが、筆者はこちらも標準のままに。とくにこだわりのなかったので、極力追加料金がかからないようにした結果、こうなりました。
後悔1.前のキッチンと比べワークトップが狭い
筆者宅のキッチンのワークトップはシンクとIHの間にあるスペースのみです。よくある形ではあるのですが、筆者が引っ越し前に住んでいた中古住宅のキッチンはとても広くて使いやすかったので、そのときの感覚からするととても狭く感じます。
それまで住んでいた家のキッチンは、Ⅱ型キッチンでした。シンクの横に広いワークスペースがあり、壁側にガスコンロ、その横にワークスペースがあるプランです。
そのような広いワークトップのキッチンで生活してので、今のキッチンを使ってみると、とても狭く感じてしまうのです。極力オプションは少なくしたかったので「なんとかなる」という考えで押し切ってしまったものの、狭いワークトップは案外ストレスのたまるものです。
Ⅱ型キッチンは標準仕様のなかにはありませんでした。あとから簡単に変えられるものではないので、オプションでも使い慣れていたⅡ型キッチンのプランにすればよかったかなと思っています。そうすれば、狭いワークトップ問題は解消できたはずです。
後悔2.対面キッチンだと、つり戸棚は見た目がよくない
標準仕様で「あり」を選んでシンクの上につけたつり戸棚。収納力には満足しています。しかし、これがあることで、見た目がよくないことが不満。
壁にさえぎられてダイニングとキッチンの一体感も得にくいです。ダイニング側から見ると、つり戸棚がジャマしてキッチンの中が見えにくいですし、キッチンにおしゃれな照明を取りつけたのに、全然見えません。
また、夫はつり戸棚の角によく頭をぶつけてしまいます。引っ越して3年経過し、そういったことも減りましたが、いまだぶつけることがまだあるようです。
後悔3.標準プランで配置されたキッチンの通路が狭い
筆者宅では夫婦一緒にキッチンを使うことが多々あります。横並びで使うときはいいものの、通路をすれ違うときや、背中合わせで作業をするとき、通路の狭さを感じます。
通路の幅は104㎝で標準です。一般的には十分といわれている幅のようですが、それぞれの使い方やライフスタイルによって感じ方は変わります。通路については間取りを見るだけではイメージしにくいポイント。ショールームに足を運んで確認すればよかったのかもしれません。
後悔4.IHクッキングヒーターのグリル機能はいらなかった
IHクッキングヒーターに付属している魚焼きグリル。住み始めてから一度も使っていません。グリルは掃除が面倒なので、引っ越し前から使う習慣がありませんでした。魚はフライパンもしくはオーブンレンジで焼いています。
仕様確認のときに「グリルはいらない」と言っておけばよかったなと後悔しています。筆者宅はローコスト住宅なので、おそらく減額にはなりませんが、使わない設備は最初からないほうがすっきりします。
後悔5.唯一オプションのカップボード。家電を置くスペースがない
カップボードだけはオプションです。施主支給にしたかったのですが、ハウスメーカー経由で導入してもらいたいと担当者から話があり、暗にお断りされました。そのため、仕方なくオプションから選ぶことに。
そして家づくりの途中で提案されたのが、写真のカップボード。一体型で間口は180㎝あります。
引っ越し前は、オーブンレンジと炊飯器くらいしか置くものがなかったので、スペースの狭さはあまり気になりませんでした。しかし、引っ越し後新しくトースターを購入したら、それを置く場所がなく、困った事態に。
また、ほかの調理家電を導入したいと思っても、やはり置き場所問題がネックとなって、購入をためらっている状態です。今さらですが、オプションで採用する際に、幅の広いものにしておけばよかったと後悔。
仕方がないので、現状はカップボードと冷蔵庫の間のスペースに、ユニットシェルフを設置。トースターのような小さな調理家電を置けるようにしています。