延床面積20坪弱の小さな古い一戸建てをフルリノベーションした、建築家・竹中英臣さんのキッチンを訪ねました。パントリー代わりに床下収納、テーブルとキッチンの天板を一体化など、狭くても使い勝手をよくするための工夫がいっぱい。理想のキッチンを実現するためのヒントが詰まっています。新築やリフォームの参考に。
すべての画像を見る(全15枚)必要最低限の設備で狭さを感じさせないキッチンを実現
築約50年、延床面積20坪弱の小さな古い一戸建てを、フルリノベーションした竹中英臣さん。1階を仕事スペース、2階を生活スペースと、完全に公私を分ける間取りにしました。写真のLDKには、南に面した窓からやさしい光が。明るくて気持ちのよい空間です。
2階にLDKと寝室をつくらなければならなかったため、コンパクトでありながら、生活のしやすい動線を心がけたそう。
床下の収納スペースは、人が寝転べるくらいの広さで、深さ80㎝ほどあります。
「とにかく狭いので、キッチンは必要最低限の設備だけをコンパクトにまとめて、床下に収納スペースをつくることで、パントリー代わりに。また、ダイニングはできるだけ省スペース&すっきり見えるよう、テーブルとキッチンの天板を一体化しました」
キッチンの高さは90㎝、ダイニングテーブルの高さは70㎝。天板の高さをそろえるため、床に20㎝ の段差を設けて調整しました。仕上げはモールテックス。モルタルに特殊な樹脂を混ぜてつくられた素材です。
天板全体に塗り、コーティング剤で仕上げることで、強度と防水性を両立。
「とはいえ、ワインやしょうゆの輪じみを長時間放置しているとしみ込んでしまうので、汚れがついたらふくことが習慣になりましたね」
写真のように、ベランダにイスを置いて窓をあければ、食事やお茶を楽しむテラス席のように使えます。
竹中さんの家のDATA
- 所在地:東京都
家族構成:夫30代 妻40代 長男0歳
建物:木造2階建て
延床面積:63.66㎡(1階 26.29㎡、中2階 12.53㎡、2階 24.84㎡)
家具は素材をミックスし、遊び心のあるインテリアに
視界に入る面積が広い天板は白でまとめましたが、側面の面材の色はスモーキーなベージュをセレクトしました。もともと家具も木製だけでそろえず、樹脂製や金属製のものをミックスし、遊び心のあるインテリアが好みという竹中さん夫妻。
モダンさをプラスするため、あえて白ではなく、ニュアンスがありつつ落ち着く色合いにまとめています。基本的にキッチンは妻の優子さんの希望を取り入れた形に。ミーレの食洗機や自動調理が可能なガスコンロなど、決して広くはありませんが、使い勝手のいいキッチンが完成しました。
写真はミーレの食洗機。大容量で収納庫として使える点もお気に入りだそう。
こちらは「全部自動で調理してくれて、火の消し忘れもない」とお気に入りのコンロはリンナイの「デリシア」。
「前の家はもっと狭いキッチンだったので、この広さでも十分満足できています」と笑う竹中さん。この家で暮らし始めてから、夫婦ふたりでキッチンに立つことが自然と増えたそうです。