作家・作詞家として活躍する高橋久美子さんによる暮らしのエッセイ。今回は、うっかり芽が生えてしまったじゃがいもの活用の仕方についてつづってくれました。

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第89回「お家でじゃがいもを育ててみる」

台所の片隅で、食べ忘れたじゃがいもがいつの間にやら盛大に芽を伸ばしていたという経験はないだろうか。養分は芽に吸い取られて、芋自体はしわしわになっている。

芽が出たじゃがいも
※写真はイメージです

昔は、仕方ないなと芽をかいて食べていたのだけれど、このじゃがいもを土の中に埋めたら新じゃがになるんじゃないの? と気づいて数年前埋めてみた。そうしたら、1つのじゃがいもから5つくらいのじゃがいもに増えたではないか! わらしべ長者みたい。それも、畑ではなくてベランダでだよ。じゃがいもってプランタでも育つんだなと驚いたのだった。

農家が種芋を買って植えるのも丁度2月~3月頃(愛媛の場合)なので、包丁で芽をかこうとしている方は、ちょっと待って。育てて3か月後、5倍のじゃがいもでカレーを作りませんか?

●じゃがいもを育てる方法

堆肥
※写真はイメージです

用意するのは、芽が出たじゃがいもと、深めのプランタか鉢と土、堆肥だけ。土の深さが30センチ以上あると確実だ。麻袋や腐葉土や土の入っていたビニール袋をプランタ代わりにも使えるから、まずはそれで試してみるといいかも。

堆肥は、鶏糞や牛糞が手頃でベストだといわれているけれど、私は米を精米したときに出た米糠を混ぜている。なるべく買わないで実験。

大きなじゃがいもは芽のあるところがそれぞれに入るように、2~3等分にカットして、50g前後にしましょう。そのままだと土の中でじゅくじゅくして腐ってしまうので、天日に干して、小さめのじゃがいもなら切らずにそのまま植えるのがいいです。芽はなるべく太くて短いのがいいです。長くてもひょろひょろのだと育ちにくいのです。

堆肥と土をざっくりと混ぜ合わせ15センチほど穴を掘ってじゃがいもを埋めましょう。ぐんぐんと成長していくので隣と最低でも20センチは離して植えましょう。

通常、他の野菜なら植えたあとに水をあげるけれど、芋系は水をあげすぎると種芋が腐ってしまうので、そのままで。念のため、雨降りの前後は植えないほうがよいでしょう。植えるとき芽を上に向けるのか下に向けるのかというのも、どっちでもいいと思う。日光のある方を探して自分で芽を伸ばしていく、植物は喋らないけれどみんな利口だ。

●土も調達しやすいところからでOK

さて、都市住まいだと土をどこで手に入れるのかという問題が出てくる。園芸屋さんなどで買っても運ぶのが一苦労なので、最初はネットで買って、そこからはコンポストに生ゴミや枯れ葉を入れて土を作るようになった。田舎に帰ったら畑だらけなのに、土を買うという行為が私にはどうしても馴染まなかったのだ。とはいえスタートは「鹿児島の土」と書かれた土にお世話になったし、今もその土をベースにしてます。

じゃがいも
※写真はイメージです

埋めたあとに気をつけることは、芋が日に焼けて青くなってしまうことだ。新しくできる子芋は、種芋の下ではなく上につくので、油断したらすぐに太陽に照らされて青くなってしまう。それがいわゆるソラニンで、えぐみの原因になる。なので、芋はなるべく深めに植えること。そして土の上に芽が出てきてからも、芋が一緒に顔を出してないか見てあげよう。出ていたら、そのつど土をかけてあげましょう。あとは太陽と雨さえあたれば基本ほったらかしで大丈夫。おいしい夏じゃがが食べられるかな。