親と暮らす家では、上下型の二世帯住宅がポピュラーです。しかし、居住空間が重なるため、生活音の問題が起こりがち。10年前に両親が祖母と暮らす実家を、ハウスメーカーで二世帯住宅に建て替えた日刊住まいライターは、この問題が起きないよう間取りで4つの工夫をし、ほぼ問題なく過ごしています。とはいえ、住んでわかった後悔ポイントも。二世帯住宅を検討中の方は、ぜひ参考に!

二世帯住宅の外観
筆者の住む二世帯住宅。玄関は共有にして1階に親世帯、2階に子世帯が暮らすプランにした
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両親が祖母と暮らす家を上下で分かれた二世帯住宅に

筆者は10年ほど前に、両親が祖母と暮らす家を二世帯住宅に建て替えました。プランは1階に親世帯、2階に子世帯という上下型のプランです。

念願のマイホームが完成したのが2012年4月。その頃、筆者夫婦はまだ30代。両親は60代で、祖母は80代でした。両親もまだ60歳代ということもあり、体力もあり、引っ越しや家の片づけは問題なく進んだことを覚えています。両親の年齢も、二世帯住宅を建てるにはいい時期だったと思います。

プランは玄関のみ共有の上下で分かれた二世帯住宅。土地の名義は親のままにして、家は「共有名義」にしました。

 

生活音対策1:階段ホールに面した部屋にはすべてドアをつける

階段ホール

階段は、1階と2階の音を伝えてしまう存在。そのため筆者の家では、1、2階ともに、階段とつながる部屋にすべてドアをつけることにしました。

 

階段ホールの位置

下の階の部屋にはすべてドアを取りつけることを前提にプランを進めました。ただ、2階の1か所、玄関横の階段を上がったところにある、子世帯のウォークインクローゼット(その奥は寝室)にドアをつけるかどうか迷いました。

しかし寝室のエアコンの効きや、テレビの音などを下に漏らさないためには、やはりあった方がよいという結果になり取りつけることに。結果的に上下とも階段ホールにつながっている部屋にはすべてドアがつけました。結果、この10年、2階からの音漏れを言われたことはありません。今でもドアをつけてよかったと思っています。

 

生活音対策2:水回りの位置はほぼ上下で一緒に

水回りの位置

トイレの水の音や浴室は音が響くので、やはり気になるポイントです。家を建てるうえでの構造上の問題もありましたが、トイレと浴室、そして洗面所は上下でまったく一緒の場所に配置。キッチンもほぼ一緒の位置にしました。

とくに洗面所には洗濯機があるので、その音が大きく、気になるポイントでした。生活時間がずれているため、洗濯機を使用する時間も異なるのですが、上下で同じ場所に設置しているので、お互い気にならずに過ごせています。

 

生活音対策3:子世帯のLDKの下に寝室をつくらない

子世帯のLDKの下に寝室をつくらない

1階の祖母の部屋の上には私たち夫婦の寝室、そして両親の寝室の上はお客様用の部屋としています。家を建てる前に考えたのは、親世帯と子世帯の生活時間はかなり異なることです。

私たち夫婦は、食事や就寝の時間が親世帯より遅くなります。ですから、子世帯のLDKの下に両親や祖母の寝室が重ならないようにしました。

筆者夫婦の寝室と祖母の寝室を上下で一緒にすることで、生活音で就寝を妨げるようなことはないと感じています。両親の部屋の上にあるお客様用の部屋も夜はほぼ使わないので、就寝が早い両親も音の問題ないと言っています。

 

生活音対策4:1日の大半を過ごすリビングダイニングの位置をずらす

リビングダイニングは位置をずらす

家にいる時間の大半を過ごすリビングやダイニング。生活音の対策を、いちばん考えるべき場所です。そこで1階は南北で縦長、2階は東西で縦長と少しレイアウトを変えました。

1階リビングの上はベランダになっており、2階のリビング下にはクローゼットなどが配置されています。リビングではとくにテレビの音がうるさいなどの問題がありますが、そのような問題もお互い感じていません。

またキッチンとつながるダイニングはほぼ一緒の配置ですが、2階で遅くに食事をしていて音が出ても、すでに寝室で就寝中の両親には音が響くことはないとのことです。