家づくりでは、収納や家事動線など、暮らしやすさを実現するためにしっかり検討すべきポイントがあります。中古住宅を購入してフルリノベーションをした、整理収納アドバイザーとして活動する日刊住まいのライターが、自宅の様子を紹介。キッチン、リビング、洗濯機回りの収納プランや間取りについて語ります。
すべての画像を見る(全10枚)キッチンはオープン収納を組み合わせて、手間を減らす
筆者は、夫婦と子どもの3人家族。3年ほど前に、中古住宅を購入してフルリノベーションした家で暮らしています。
整理収納アドバイザーの資格を持つ筆者。家づくりの際、キッチンの収納では、使い勝手をよくするため、オープン収納を組み合わせることにしました。
オープン収納のメリットは、取り出しや片づけの際に、動作がスムーズなこと。収納の扉をあけ閉めするのは、意外と手間です。
実際筆者は、この手間がないオープン収納だと、思っている以上に作業がはかどります。また、パッと見るだけで、なにがあるかわかりやすいため、食品のストックなどの管理がラクに。
わが家のキッチンは、シンクとIHヒーターが2列に分かれたII型キッチン。シンクがあるアイランド部分はキッチンメーカーのもの。IHヒーター側のカウンターは造作しました。
こちらは、造作したカウンター側の様子。IHヒーターの下とその右隣のスペースは、オープン収納に。ただし、さらにその右隣スペースのみは、オープンではなく引き出し収納としました。ここには、食器を収めています。
ここだけ引き出しにしたのは、カウンター自体の奥行きもあるため、食器やこまごまとしたものを収納するに便利だから。それに、ホコリも防げて、衛生面でも安心です。
こちらは、シンクに向かって立った際に、左を向いたときの様子。カウンターの下はやはりオープンの収納に。無印良品のステンレスユニッシェルフを入れ込んで、食品ストックをメインに収納しています。
一方、カウンター上の壁には、棚を取りつけました。見た目がよい、お気に入りのものだけを収納することに。
ものの出し入れがラクなオープン収納には、一般的に「見た目がごちゃごちゃする」というデメリットがあります。わが家の場合は、絶妙な間取りにすることで、この問題を回避。シンクのあるカウンターや袖壁が、リビングダイニングからの視線をさえぎる仕掛けになっています。オープン収納の部分がうまく隠されていることが、この写真でわかるでしょう。
リビングは収納をなくして広さを優先
収納の使い勝手にこだわった筆者ですが、リビングには収納を設けませんでした。整理収納の効率を考えれば、「必要な場所に必要な量の収納がある」方が暮らしやすいに決まっています。
しかし、そう広くはないわが家。リビングは、使い勝手より「少しでも広がりを感じる」ことを優先して計画することに。
ただし、解決策も用意しています。わが家は、ほぼ全体がひとつながりになった間取り。LDKとその周囲のスペースには間仕切りや扉がありません。行き来がスムーズな間取りであることを利用して、リビングとつながる隣の別スペースに収納をつくりました。階段の横の扉のないスペースが、それに該当します。
その収納スペースの様子がこちら。おかげで、リビングは広々使えます。収納スペースへのアクセスにストレスがないので、使い勝手にも問題はありません。
洗濯乾燥機の近くには部屋着と下着類の収納を
わが家の1階の洗面スペースは、脱衣所も兼ねていて、そのうえ、洗濯乾燥機もあります。コンパクトなスペースにもかかわらず、間取りを決める際は、さらに部屋着や下着類の収納も同じ場所に設けることを決めました。
これは洗濯の動線を考えて計画したもの。わが家は、部屋着や下着類を乾燥まで洗濯乾燥機ですませるスタイル(ちなみに外出着は、2階室内で自然乾燥します)。そのため、洗濯乾燥が終われば、「取り出しながらたたみみ、収納に片づける」という一連の動作が、このスペース内ですべて完了するのです。家事の負担が少なくてすみます。
しかも、脱衣所に部屋着や下着類の収納があると、風呂上がりに、そのまま着替えを手に取ることができます。これは家族にとっても、使い勝手が抜群。