住居としても利用していた築38年のビル。そのワンフロアを二世帯住宅にリノベーションした事例を紹介します。住んでいるのは40代の夫婦と3人の子どもと母。使いやすくて収納たっぷりのⅡ列型キッチン、そして内窓でつながる書斎は夫婦のお気に入りです。ヘリンボーンの床とアクセントウォールで彩られたLDKは、ひときわ目を引く空間に。
すべての画像を見る(全20枚)質感や色の緻密な構成とオリジナル家具が空間を豊かに
Nさんの家 東京都
- ・家族構成:夫49歳 妻44歳 長男6歳 二男3歳 長女0歳 母74歳
・築年数:築38年(1984年築)
・専有面積:225.92㎡(工事対象部分)
・工事費:4300万円(税、設計料込み)
・設計:ハクアーキテクツスタジオ
ヘリンボーンの床やアクセントウォールで彩られたLDKが、ひときわ目を引くNさんの家。「母と同居するためにリノベーションした実家が、憧れのヘリンボーン張りの床を組み込んだ家になってうれしいです」と、妻は大変身を遂げた家に納得の様子です。
夫妻はほかにも、ものが出ていないスッキリとした空間、家族が集えるオープンで広いLDK、採光のよさを希望したのだとか。設計を依頼された後藤典子さんと関正信さんは、無垢材などの素材を厳選。床材の張り分けをはじめ、塗装や左官の組み合わせなど、テクスチャーの変化や色であか抜けたデザインに仕上げました。
さらに、空間を広くのびのびと使えるように、天井はできるだけ現しに。照明やエアコンは天井につけず、壁には間接照明を配することで、設備機器の存在感を消すための配慮もしています。また、キッチンやテレビボード、リビングドアなどもオリジナルで造作し、住まいに統一感を持たせました。
親から孫へと3代をつなぐ、家族の絆の象徴として、以前の住まいの面影をデザインに取り入れたのも特徴です。その一例が、玄関正面の廊下に配されているステンドグラス。アクセントウォールとして生かしつつ、その手前には家族がくつろぐためのベンチを造作。眺める楽しさに使う喜びを加えて、新たな命を吹き込みました。
「造作家具は内装にマッチしているので気に入っています。ガラスの建具で部屋も明るくなって心地いい」と夫。機能とデザインが調和した住まいで、二世帯の暮らしも快適そうです。
素材や仕上げにこだわったお気に入りポイント
妻のイメージをカタチにしたキッチン&ダイニング。キッチンに採用したバイブレーション仕上げのステンレスと、テーブルに用いたオークのコンビネーションがお気に入り。
2つの廊下が交差する床は、板の張り分けや異なる板材で変化をつけて、エリアをゆるやかに分けた仕上げにしました。
廊下より一段高くしたLDKの入り口。床材の張り方を廊下とそろえてシンプルな仕上げに。写真中央に見えるのは、リビングの間仕切り壁。木ゴテを用いて土壁のような風合いに仕上げ、廊下を変化のある空間に演出しています。
ガラスを介して、広がり感や廊下に光を届けるリビングドア。スチールを使った細いフレームで軽やかさを出し、グレイッシュカラーでインテリアに統一感を持たせています。
間取り(リノベーション前後)
リノベーション前
リノベーション後
構造的に動かせない壁が多いなか、家の中心にあった和室+納戸スペースを、書斎や収納につくり替えつつ、中央に廊下を新設。回遊性が生まれたことで、二世帯が行き来しやすく、風や光も届きやすい間取りを実現させました。