SNSで人気のファッションイラストレーター・珍田さんと、ライターの野田春香さんがタッグを組んだ連載!「こんなときどんな服を着ればいいかわからない」のあるあるなお悩みに合わせたアイテムやコーディネートを、30~40代の今を生きる3人の個性豊かな女性の日常とともに紹介していきます。
すべての画像を見る(全3枚)【今回の主人公は、コンサバスタイルの“マユミ”】
42歳のマユミ。保険会社の営業で、バツイチ独身のひとり暮らし。168cm、57kg。大阪出身。はっきりものを言う性格で気が強く、クールで周りに頼られがちだけど中身は乙女。11歳年下の彼氏がいる。仕事柄、平日はオフィスカジュアルスタイルでモノトーンばかり。休日もそれをベースにしたコンサバな服が多い。
定番の「ベージュのトレンチコート」で、あか抜けコーデ
第14回は「ベージュのトレンチコート」。老若男女着られて、着る時代も選ばない。だからこそ、気を抜くとくたびれた感じがしてしまうことも…!? 定番でありながらあか抜けて見える着こなし方を考えました。
●<通勤編>袖をクシュっとさせて袖口を折るだけで雰囲気が出る!
【11/15 火曜日 PM8:00。会社帰りにミキとごはん】
マユミ:ミキから突然「話したいことがあって。今夜あいてない?」の連絡。「今日は夫に子ども預けられるから」と。そこまでして話したいことってなんだろう。この間までの気まずい空気はサオリの老婆心で解消したつもりなんだけど…。
仕事終わりだし今日はスーツ。オシャレしてないけど、会社に置いてあるロングネックレスをたして飾り気を出した。コートはシンプルに着るとなんのおしゃれも感じられなくなっちゃうから袖を折ってクシュっとまくる。ちょっと寒いけど前を開いてバサッと羽織るほうが雰囲気も出ていい感じ。パンプスも会社に置いてある置き靴にチェンジ。ビジューつきのブルーのパンプスはベーシックなコーディネートを引き締めてくれた。
ミキと合流して気軽なイタリアンバルへ。「サオリの夫のシンさん、多分、浮気してる…」って、え…? 話を聞けばそれらしい現場を見てしまったらしい。「こういうのって、サオリ本人に伝えるべきなのかわからなくて」
最初は伝えるべきだと思ったけど、サオリにとって真実を知ることが幸せかどうかはわからない。私の前の離婚は夫の浮気が原因。相手の女が介入してきてはちゃめちゃになったから離婚したけれど、夫とは友達としてはうまくやってたし、家庭内の空気も悪くはなかった。むしろ、家庭が平和に回るのなら夫の息抜きは仕方ないと思っていたし、私も浮ついた気持ちを一度ももたなかったわけではなかった。
正しいことを伝えることが正しいわけじゃない。「サオリ、この間シンちゃんがやさしいってすごくうれしそうだったね」「もう少し様子を見て、サオリが悩んだときには助けてあげるようにしよう」。そう話し合ってサオリにはしばらく黙っていようと結託した。
夫婦間だって知らなくていいことはたくさんある。第三者には到底理解できないその夫婦だけの不思議な結びつきだってある。きっとミキの家庭にもそんなことがあるし、私だってミキとサオリに言えずにいたことだってあった。夫婦ってなんだろう…と考えながらの帰り道は、いつもよりも薄暗く感じた。