子ども部屋を勉強に集中できる場所に変身させましょう。適切な明るさや色の照明を選ぶ、30分ごとに換気する、理想的な姿勢になるイスと机を与える…。「それほど大がかりではない改善で、子どもの集中力はアップします」。そう語るのは、一級建築士で『狭い部屋でも快適に暮らすための家具配置のルール』の著者・しかまのりこさん。自身の2人の子どもも、難易度の高い大学へ入学しています。詳しく解説。

子ども部屋
照明や家具の選び方、壁紙の色次第で、子どもの集中力は高まる
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勉強に集中できる部屋にする4つのポイント

筆者は今まで、たくさんの子育て世代の家づくりの相談に乗ってきました。LDKを広く快適にしたいという相談の次に多いのが、子ども部屋、リビング学習など、「子どもの学習環境をどのようにしたらいいか」という相談です。

子どもが勉強に集中する部屋にするには、以下の4つのポイントがあります。
1.照明
2.換気と温度
3.机とイス
4.インテリア

部屋の照明や温度、換気などは、勉強に集中するための環境要因。机やイスと、インテリアは物理的要因です。それぞれを改善することで、集中できる部屋になります。

では、それぞれについて詳しく見ていきましょう。

 

1.脳を働かせるには「昼白色」の照明を選ぶ

照明のポイント

学習環境で、まずチェックしたいことは「照明」です。集中して勉強するには、十分な「明るさ」が必要だからです。

部屋に必要な明るさですが4.5畳で60~120 W(ワット)、6畳程度の部屋の場合は100~200W、8畳程度の部屋の場合は200~300Wが必要です。

もし、使っている電球がこれより低いワット数の場合は、電球や照明器具を交換しましょう。またLED電球を使用したい場合は、商品の表示に「100W相当」などの表記がありますので、それを参考にしてください。

電球を選ぶ際に注意したいことは「色温度」です。色には温度があり、「色温度が低い(オレンジ色/電球の色)」「色温度が高い(白い色/蛍光灯の色)」の違いがあります。リビングなどでリラックスする際は、暗めで「色温度が低い電球(オレンジ色/電球の色)」が向いています。

逆に、勉強に集中して、脳を働かせたい場合は「色温度が高い電球(白い色/蛍光灯の色)」が向いています。

ですから子ども部屋の照明は、この「色温度が高い電球(白い色/蛍光灯の色)」にしてください。また、LDKで勉強をするリビング学習の場合は、この色温度にも変えられる、調光タイプに変えるといいでしょう。

LED電球の場合は、「電球色」「温白色」「昼光色」「昼白色」などが販売されていますが、色温度が高い「昼白色」を選んでください。

照明の仕様は、ペンダントライトやスポットライトなどではなく、「シーリングライト」にしましょう。シーリングライトは、天井に直づけしているため、部屋全体を明るくする効果があるためです。

また、部屋全体の照明だけでは、本などを読む机上の明るさがたりないため、明るさを補うためデスクライトを追加するといいでしょう。このデスクライトですが、前述した色温度の調整できるタイプを選ぶと、求める作業や学習によって色温度や明るさを変えることができるのでおすすめです。

 

2.30分ごとに換気して空気を新鮮に。室温は25℃前後

換気と温度のポイント

勉強に集中できる学習環境で、照明とともに大切なことは換気です。室内の空気は、二酸化炭素や化学物質で思いのほか汚れています。

また室内の二酸化炭素濃度が上がると、勉強や作業の効率が下がることがわかっています。そのため、勉強に集中できなくなる前に、室内の換気をしましょう。換気の目安ですが、30分に数分程度の換気が理想的です。

窓が2か所あれば、両方ともあけて空気の流れをつくります。窓が1か所しかない場合は、換気時間を長めに。

換気をすることで、窓などに発生する結露も軽減できます。結露は、アレルギーや健康被害を引き起こす、カビやダニの発生原因でもあります。結露を軽減して、良好な健康状態を保てるようにしてください。

換気と関係しますが、室温にも注意を。暖房などで室温を高くすると、勉強中の眠気を引き起こす原因になります。また暖かい空気は部屋の上部にたまりやすく、頭の表面温度が上がり、勉強に集中できなくなることも。

そこで、暖房をかける際は吹き出し口を下方向に向け、また設定温度は低めの25℃程度に設定し、足元をヒーターなどで温めるといいでしょう。