家族の形の多様化が進んでいます。両親や義父母と暮らす際に、世代間のギャップをつらく感じる人も。ここではカウンセラー・エッセイストの若松美穂さんが、70代の母と暮らしてわかった、母親世代と暮らしやすくなる5つのコツについて教えてくれました。

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母親世代と暮らしやすくなる5つのコツ

東日本大震災を機に母が私たちと暮らすようになり12年がたとうとしています。私が子どもの頃の母は仕事中心。親子と言えるほどの触れ合いがなかった私にとって、この12年は共に過ごすことのできる楽しい時間でもありました。

一方で、成人してからはまったく異なる場所で暮らし、年代や価値観の異なる者同士でもありますから、お互いに大変さや戸惑いがなかったと言えば嘘になります。

今はずいぶん暮らしやすくなっています。なぜなら年月を重ね、自分の中で「していいこと」と「しなくてもいいこと」を決めたからです。

 

●1:違いを認めて手を出さない、すべてまかせる

母と台所の使い方が違っても手を出さない
母と台所の使い方が違っても手を出さない(※写真はイメージです。以下同じ)
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私と母はキッチンの使い方がまるで違います。私は片づけながら料理を進め、料理が終わるころには、キッチンがスッキリしているのが好き。ゴミはその都度シンクの中に置いた袋に捨てながら作業を進めます。

一方母は、料理は料理、片づけは片づけ。野菜を処理するとして、ゴミはすべてシンクの中に散らかっていても気にならない。最後に一気に片づける。洗い物もすべてまとめて最後にします。

以前は脇で私が片づけたりもしていましたが、今は、終わりまでまかせます。
自分と人のやり方やペースは異なるということを認め、領域を侵さないことにしています。

 

●2:察しすぎない、聞きすぎない

紅葉

母がこう言うことがあります。「この時期○○の紅葉がいいらしいわね~」「○○がないから買いに行かなくちゃ。でも重いのよ」「病院に行きたいの」。もちろん私の忙しさは知っているので、できるだけ自分でします。
でも休みの日になれば、娘が察して連れていく。送迎や代わりにしてくれることを期待していないわけでもない。ラクですもの。

ただ、こちらが察して動くと、その積み重ねで、親側も察してもらう、してもらうことが当たり前になります。そして、次も期待する。私は自分の自由時間が奪われる。

だからあえて、察しすぎない。聞きすぎない。

「そうね、いいわね。お友達を誘ってみたら?」「今日は天気がいいから、買い物日和ね」「病院、混んでないといいね」と暗に、「私はそれに関して動くつもりはありません」ということを伝えます。言い方も大事かなと思ったりします。
もしかしたら、親も独り言のように言っているだけという場合もありますから。

 

●3:こうしたい、こうしてほしいは伝える

手つなぎ

心の中でこうしてほしかった、これはしてほしくないと思っていても、親でも気持ちは伝わりません。ですから、心の中で思うだけではなく、できるだけ丁寧に説明します。

話すと、相手がなぜそれをするのか、理解できる理由がある場合もあります。聞いても、受け入れられないこともあります。伝え合ったからと言って、お互いすぐに直るわけではないですし、直す気がないこともあるでしょう。

その場合は、同じ場面に出くわしたら、再度「私は嫌なんだよね」「してほしくない」「こうしたい」を伝えるだけ伝え、その場を離れます。いがみ合うより、自分が嫌だと感じる空間にいない選択をする…でいいと思っています。