文筆家の大平一枝さんが、グリーンフィンガーとの出会いを求めて、植物専門店・STEOR(ステア)を訪れました。店主は今や商業施設の空間デザイン、庭の植栽、グリーンのインテリアアートと大人気の星野ひろみさん。実家のステンレス工場を、アトリエ兼店舗にリノベした店内には、草木だけでなく、星野さんが考案した、魅力的なアイテムがそこかしこに置かれていました。

STEORの店内
STEORの店内。天井高は工場時代のまま。壁のペイントや床、水回り、建具を替えた
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のびやかな発想に驚き。創造の場は元ステンレス工場

なにしろ店主の星野ひろみさんはアイデアマンだ。大学で建築を学び、設計事務所勤務の後、2006年にSTEORを設立。植物は独学ながら、次々と日常に緑を取り込むユニークな商品を考案した。

 

星野さん考案のMOSS BAG
円形のグリーンは星野さん考案のMOSS BAG。苔かごの本体に、さまざまな草花をアレンジ。天然の草木をドライ加工したものと、イミテーション(フェイク)素材のものがある

木製やアンティークの額にグリーンの草木を飾るグリーンウォール。苔かごの器に観葉植物をアレンジするモスバッグ。ステンレスとグリーンの組み合わせを楽しむプロダクト。そのどれにも、天然の草木でもイミテーションでも組み合わせることができる。今や商業施設の空間デザイン、庭の植栽、グリーンのインテリアアートと大人気なのもよく理解できる。

 

ハンギングポット
ハンギングポットは父が営むステンレス工場で製造。デザインと分業で商品化された

彼女の発想なら、あきらめていた日常にグリーンを足せる。日が当たらないオフィスや鉢を置く場所のない狭い住宅でも壁や吊るすアイテムを使って楽しめる。

 

店や言葉の端々から伝わる、植物が暮らしにもたらす喜び

切り花はどれもリーズナブル
切り花はどれもリーズナブル。「これなら買えるという金額にして、植物のある生活を楽しんでほしいので」

また、店では切り花一本の飾り方から植物の育て方まで丁寧に教える。それらは「ふだんの生活に溶け込める価格帯」にし、仕入れの基準は「せっかく買ってもらうので長持ちすることを大事にしています」。店や言葉の端々から、植物がもたらす喜びを伝えたいというまっすぐな志が伝わる。

 

トリエ兼店舗

アイデアマンは昨秋、さらに素敵な試みを実現した。実家のステンレス工場を、アトリエ兼店舗にリノベしたのだ。元駐車場という小さな庭のアプローチは、青物横丁の街に清々しく溶け込む。

誰の真似でもない個性的な空間、目の離せないグリーンフィンガーである。

 

カウンター

いつか自分の店に置こうと、長く取り置きしていたカウンター。神奈川県大和市のアンティークショップ・シャークアタックで購入したもの。

 

グリーンウォール

ひとつあるだけで空間がぐっと和み目が癒やされるグリーンウォール。

 

星野ひろみ

苔の鳥は店主・星野ひろみさん自作のグリーンインテリアプロダクト。「生き物は植物と同じくらい大好きです」。子ども客にも人気のこの鳥は、看板犬ならぬ看板鳥らしい。

 

2階から店舗を臨む

DATA

STEOR(ステア)
東京都品川区東品川4-1-16
営業時間:水~日曜 11:00~18:00 月・火 休(できれば来店前にHPで確認を)

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