日本のトイレではすっかり当たり前となっている「温水洗浄便座」。海外の方が日本に旅行に来た際にトイレの機能に驚いたという話も聞きますが、海外ではどうなっているのでしょうか? そこで、アメリカ・シアトルに住んで十数年。子育てに奮闘するライターのNorikoさんに、「アメリカのトイレ事情」について教えてもらいました。

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トイレ
アメリカと日本のトイレはどう違う?(※画像はイメージです)
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コロナ禍でなかなか帰省できずにいましたが、日本の入国規制緩和を受け、3年ぶりに一時帰国をしました。改めて感じたのが、日本のトイレは約8割が温水洗浄便座完備という、トイレ先進国だということ。アメリカから来ると余計に、トイレ機能にまで心を配る日本の「おもてなし」文化と技術力に感動してしまいます。

●アメリカでは温水洗浄便座が貴重って本当?

と言うのも、アメリカに住んで約20年になりますが、アメリカのトイレ事情はなにも変わらず、渡米当時のまま。これまで公共のトイレで温水洗浄便座を一度も見たことはなく、家庭のトイレでも現地に住む日本人の住まいを除き、温水洗浄便座は極めてまれな存在です。

温水洗浄便座
(※画像はイメージです)

確かに、数年前からアマゾンやコストコ、大手ホームセンターなどでも、既存の便器に接続できるタイプの温水洗浄便座が販売され始めたのは事実。トイレットペーパーの品切れが相次いだパンデミック初期には、トイレットペーパーの節約になってエコだとメディアで話題になっていたようです。

しかし実際には、日本と比べて機能が劣る割に高価格帯な製品が多く、既存の便器や水栓金具と規格が合わない、便器回りに電源がない、取りつけが面倒、衛生面に不安などと、なかなか一般に広く普及するまでには至っていません。

ちなみに、日本の某有名ブランドをチェックしてみると、アマゾンの割引価格で購入したとしても売れ筋製品は約5万円から…。さらに日本のようなトイレ本体とのセットになると、アメリカのバカ高い取りつけ工事費、人件費を考えれば、とても庶民には手の出ない高級品であることがわかります。

「こんなものがあるなんて、日本に旅行するまで知らなかった」というアメリカ人もいるくらいなので、この10月の外国人旅行者に向けた新規入国制限の見直しで、アメリカから日本に観光で訪れる人が増えれば、温水洗浄便座の普及率も上がっていくのかもしれませんね。

●アメリカでは「トイレ」と言っても通じない?

便座

アメリカのトイレは、日本のようなトイレだけの個室は珍しく、一般的なアメリカの家屋では浴室の中にトイレと洗面台があるスタイルが多く見られます。

おもにトイレ(toilet)は便器を指し、「トイレに行きたい」などと場所を意味する場合は浴室、つまりバスルーム(bathroom)と言います。日本人の感覚では、「バスルームに行きたい」と聞くと、トイレではなく、お風呂に入りたいのかと思ってしまうかもしれませんね。

アメリカでも広いお宅では、家に来たゲストや業者用に個室のトイレが玄関横やリビングルームの近くに設置されていることがあり、それにプラスして、主寝室とつながる配置で前述の「バスルーム」が存在します。寝室が多い間取りではその分、バスルームも2か所、3か所と増えていきます。