映画の聖地巡礼などで人気の広島県呉市は、戦前は海軍の町として戦後は瀬戸内海有数の臨海工業都市として発展。受け継がれるたくさんの歴史、おいしいグルメなど、海の町・呉にはさまざまな表情があります。観光地としても多くの旅行者が訪れる呉市の魅力を広島県在住のキッズパーティプランナー・浦岡裕子さんがご紹介します。
自衛隊や映画好きでなくてもハマる!レトロかわいい町
港にはクレーンが立ち並び大型タンカーや多くの船が行き交う港町・呉市。海上自衛隊の基地があり、関連のミュージアムがあることから男性人気の高い観光地です。近年では映画『この世界の片隅で』の舞台や、『ドライブマイカー』のロケ地であることから映画好きも多く訪れています。
神奈川や岡山で暮らした後、3年前に広島市に移住し、家族でたびたび呉市を訪れている浦岡裕子さん。「じつはおしゃれなものや、レトロかわいいものがたくさんありますよ」とおすすめを教えてくれました。
レトロかわいいデザインの老舗パン屋さん
昭和11年創業の『メロンパン』(https://kuremelon.com/)というパン屋さん。広島県内に30店舗近くある老舗で、東京でも催事があると、あっという間に売りきれるほど人気です。
パンのネーミングが「ナナパン」「へそまがり」など個性的で、それぞれきちんと由来が。たとえば、カステラがサンドされた「平和パン」は、カステラは長崎、パンは広島をイメージし、原爆の被害を受けた2か所に由来した平和を願った名称なのだとか。
呉市民は子どもの頃から食べているので、「私は〇〇パン派」とお気に入りがあるそう。
「最初は、レトロなパッケージに惹かれました。思わず何種類も買って並べたくなるデザインです! とくに創業当時から変わらないラグビーボール型のメロンパンは、何十年も前にデザインされた袋が秀逸。カタカナ、アルファベット表記が隠れていて、わかったときはうれしくなりました。このメロンパンは、自家製クリームがびっくりするくらい入っていて、何度でも食べたくなるおいしさです!」(浦岡さん)
ノスタルジックな雰囲気が漂う島のゲストハウス
瀬戸内海に面した呉市には島がたくさんあり、そのひとつ大崎下島の御手洗地区はノスタルジックな町並みが人気の観光地です。なかでも浦岡さんがおすすめしたいのは『ゲストハウス&バー醫(くすし)』。(>https://hatagoya-kusushi.com/)
「大正時代から島の診療所兼住居だった建物をゲストハウス&バーにしています。診察室だった内装や淡いベールブルーの外装は思わず写真を撮ってしまうかわいさです。島内産かんきつでつくった自家製シロップのドリンクは絶品! レモンカードや各種かんきつ類のシロップはお土産にもぴったり。お土産用の袋の遊び心も要チェックですよ」
女性陶芸家が生みだす優しく美しい作品
呉市の中心部からクルマで30分ほどの倉橋島の音戸町にある『アトリエ壱』(>https://www.atelierichi.com/)は、陶芸家・佐々木しずさんの工房。素地の上に柔らかい土を盛るようにして文様を描く「イッチン技法」でつくられた真っ白なカップ&ソーサーは、呉市のふるさと納税返礼品としてとても人気です。
「数々の賞を受賞している佐々木さんの作品は、美しくもありどこか温かみも感じられます。繊細でさりげない模様が美しい陶器の食器や花ビンが魅力的。私はランプシェードをいつか自宅に…! と思っています。布団店を改装したアトリエは、店舗の名残が感じられそれが不思議と工房や陶器となじんでいます。佐々木さんのしつらえた作品のディスプレーとともに心地よい空間なので、ぜひ現地で作品に触れていただきたいです」
これぞ呉! と実感できる潜水艦が見られる公園
海上自衛隊の基地がある呉市。港にある『アレイからすこじま』(https://www.city.kure.lg.jp/soshiki/67/m000008.html)は、常に自衛隊の潜水艦を眺めることができる貴重な公園。潜水艦を間近で見られる世界でも珍しい場所です。
「海上自衛隊の潜水艦桟橋がある潜水隊前というバス停からが、潜水艦や艦船がかなり近いのでおすすめです。ダイナミックな潜水艦に思わず『かっこいい…』と声が出ます。かわいいとは違いますが、呉を象徴する魅力的な風景です。バス停の向かい側にある喫茶店(2階)からなら、お茶をしながらゆったり楽しめますよ」
お土産にしたい、呉市らしい名産品
呉市は日本一の水揚げ量を誇るカキやサイズの大きな瀬戸内レモンなど、名産品がたくさんありますが、今回は、旅のお土産としておすすめしたい5品をご紹介します。
●パケ買い必須のドライフルーツどら焼き
3代継承している和菓子店の『蜜屋本舗』(https://mitsuya-honpo.jp/)。呉市の銘菓として「蜜饅頭」が有名ですが、「乙女のひとときドライフルーツどら焼き」も絶品! あんに入ったドライフルーツとクルミのバランスと食感が絶妙。おいしさもさることながら、お土産にしたくなるパッケージです。
「はちみつ漬けのドライフルーツとナッツが入ったどら焼き、というだけでも珍しいですし、今っぽくておしゃれ。そこに呉らしいレトロかわいいイラストにグッとくるので、帰省の際のお土産によく購入します。箱型は開封するとイラストのシーンが変わる遊び心もすてきです」
●生産量がダントツ日本一の呉市のイカフライ
スナック菓子の「イカフライ」「イカ天」は広島県が発祥といわれています。そして国内生産のほとんどが呉市だそう。そんなイカフライを食べやすいひと口サイズにして、広島特産の瀬戸内レモン味にしたのが『リベルテ本帆』(https://libertehonpo.co.jp/)の「レモニカ」。
「駄菓子のイカフライとはちょっと違う大人向けです。レモンの酸味がさっぱり効いていて食感もザクザクしているので、ビールと一緒にいただくのが好きです。カレーやマルゲリータなどもあるので、いろいろな風味も試していただきたい!」
●箱やラベルのデザインが目を引く昔ながらのラムネ
創業は大正14年、戦前は軍御用達のラムネも製造していた歴史ある『中元本店』(https://tobikiri-n.com/)。呉で造船された戦艦大和の乗組員が「洋上で飲むラムネがなによりの楽しみだった」という話もあるほど。旧・呉海軍に愛された昔ながらのラムネ、現在は「大和ラムネ」として販売しています。
「箱のイラストがかっこよくてかわいい。呉市の海や山もイメージされていて、呉らしいなと。ボトルのラベルもインパクトあります。男の子が喜びそうですよね。昔ながらのビンも子どもはもちろん大人もテンションがあがります。味はすっきりさわやか!」
●ご当地ご飯のひとつ海自カレーをレトルトに
海上自衛隊では多くの部隊が毎週金曜の昼食にカレーを食べているそう。そこで、基地のある呉市では、『呉海自カレー事業者部会』(https://kure-kaijicurry.com/)を発足。呉市内の店舗が海上自衛隊の調理員からつくり方を教わった味を再現し、「呉海自カレー」としてお店で提供しています。そして、その味をいつでも楽しめるようにとレトルトにし、現在21種類! それぞれパッケージや異なるので、コンプリートセットを購入するマニアもいるそう。
「箱には実際にある艦船のイラストや名称がつけられ、味も“特製ビーフカレー”、“ピリッとパンチの効いたカレー”といったようにそれぞれ異なり、そのこだわりがすごい! いろいろな味を買って食べ比べしたくなります」
●呉市公式キャラクター「呉氏」にほっこり
呉市の公式キャラクター「呉氏」は、自動販売機の側面、看板やのぼり旗の隅など、市内のいたるところに。そんな愛されキャラクターは、グッズもいろいろ。なかでも『制服のフジ』(https://seifukunofuji.co.jp/SHOP/134309/178244/list.html)が制作しているぬいぐるみ類は人気です。
「シンプルなデザインのご当地キャラなのですが、ビビッドなブルーとインパクトのある顔が忘れられません。グッズは、靴下、トートバッグ、Tシャツなどいろいろ。もし、ぬいぐるみの呉氏を見つけたら、フワフワしていて毛並みが良いので、ぜひなでてあげてほしいです(笑)。シンプルゆえ、グッズを普段使いしやすいキャラクターです」
呉市は広島市の隣、広島駅から快速で30分ほどとアクセスも便利なので、観光だけでなく、移住地としても注目されています。移住に興味がある方は「定住サポートセンター」へ。観光についての詳しい情報は市のウェブサイト「観光情報くれナビ」をチェックしてください。
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取材協力:広島県呉市