家に帰ると用意しておいたプレゼントの新しいおもちゃを後ろ手に隠しながら犬のもとに行く。しかしどうやら私の表情やら挙動から気づいたのだろう、犬が期待を込めて飛びついてきた。後ろに回ろうとするので「ジャーン!!」とおもちゃを差し出せば、「ン!!」を言い終わる前に取っていって、まばたきひとつしたらブンブン振り回して遊んでいる。
おもちゃをくわえながら懸命に左右に振り回しながら向かってくる。これは振り回しがいがあるだろうし、音が鳴るし、私と引っ張り合いもできるなと店内で遊ぶ様子を思い浮かべながら選んだ。
昼過ぎに妹が帰宅すると犬のおなかにおでこを寄せていた。これは毎度行っているただいまの儀である。
妹はともかく犬も、ふたりして数秒間じっとそうしている。みんな犬に癒されている。
夕方頃から庭でBBQの準備をしながらケージまわりをバルーンで飾りつけていく。一歳になるくらいまでケージを愛用していたが、次第に入らなくなり庭に置くようになった。
日頃から撮ってるが記念日には改まった写真を残しておきたい。みんなに見守られるなか犬を撮っていたら「なんか犬ちゃん誇らしげやなぁ」と妹が笑う。
さて今日という素晴らしい日を足あとがかわいい犬用ロールケーキでお祝いしよう。今夜は祝祭だ、宴だパーティだ!
ここからまた一年、犬がなにも心配しないでいいように私はひたすら善処する。どうか犬がいつまでも健康でいられますように。
どうか来年も10年後も20年後も犬の目を見て「ありがとう」を伝えられますように。
2014年にうちにやってきてくれた感謝と犬の名前に込めた祈りは色褪せず、9年目へと続いていく。
犬、うちにやってきてくれてありがとう。いつも与えてくれてありがとう。
この連載が本『inubot回覧板』(扶桑社刊)になりました。第1回~12回までの連載に加え、書籍オリジナルのコラムや写真も多数掲載。ぜひご覧ください。