少し涼しくなってくると、いっそう楽しくなるのがお茶の時間。せっかくなら茶器や道具にもこだわりたいですね。

ここでは料理ブロガーで、テーブルコーディネートにも定評のあるぶち猫さんに、お茶の時間が待ち遠しくなる茶器や道具の選び方について語っていただきました。

おいしいコーヒーは、生活を豊かにしてくれます
おいしいコーヒーは、生活を豊かにしてくれます
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コーヒーや紅茶でほっとひと息。ちょっとした手間で生活を楽しむ

お茶はお好きですか? 私はコーヒーが大好きなので、毎日ほぼ水とコーヒー(あと日が暮れたあとは少しのお酒)ばかり飲んで暮らしています。

とくに、朝の起き抜けに香りのよいコーヒーを飲む気分は格別。胃が弱いので平日の朝はあまり食べられないのですが、ときどきおいしいパンを買ってオーブンで軽く温めてから、いれたてのコーヒーと合わせたりします。簡単ですが、至福の朝ご飯です。

コーヒー豆をその都度ひいてハンドドリップしています。

うちのコーヒーは、コーヒー豆をその都度ひいてハンドドリップしています。

一連の作業に必要な道具は、ドリップポット(写真右奥の黒いケトル)、ドリップポット用の温度計、コーヒーミル、ドリッパー、フィルターとピッチャーです。

コーヒーミルは、電動の大きなものがよいとも聞きますが、残念ながら置く場所がないので、手動の小さなものを使っています。

縦長でスリムな形なので、ちょっとした隙間に収納できるのが頼もしいです。

ドリッパーにフィルターをセットしてひいた豆を入れ、お湯を注いでいるところ。

ドリッパーにフィルターをセットしてひいた豆を入れ、お湯を注いでいるところ。

コーヒーのためだけにドリップポットを用意するのは少しぜいたくですが、本格的にハンドドリップに挑戦するなら、ぜひそろえたい道具です。注ぎ口の細いケトルがあるだけで、格段にドリップがうまくできるからです。

また、コーヒーはいれる温度と時間、豆とお湯の量で味わいが変わるところが醍醐味なので、さらに本格的にいれたい場合には、ドリップするお湯用の温度計やドリップスケール(ドリップ時間と湯量を同時に計れる専用の計り)を用意すると、ますますコーヒーの深みにはまっていく仕組みです。

ドリップしたコーヒーを入れておくガラスピッチャーです

ハンドドリップはちょっとハードルが高いという方にもおすすめしたい道具は、ドリップしたコーヒーを入れておくガラスピッチャーです。

わが家では、アイスコーヒーを飲みたいとき、濃い目にドリップしたコーヒーに氷をいれて冷やしたあと、ピッチャーごと冷蔵庫に入れて常備しています。

ドリップ用のピッチャーは耐熱なので、ティーバッグの紅茶、日本茶、ハーブティーなどを複数人分いれたいときにも重宝します。

また、ピッチャーに氷とミネラルウォーター、レモン、ミントなどのハーブを入れると見た目も味もさわやかなハーブウォーターになります。

●ひとつだけ買うならフレンチプレスがおすすめ

ひとつだけ買うならフレンチプレスがおすすめ

「収納場所がないので、お茶をいれる道具はなるべく少なくすませたい」という方におすすめしたいのが、フレンチプレス。

コーヒーをいれる手順は、フレンチプレスにコーヒーの粉(ひいた状態で売っているもので大丈夫です)を入れ、ゆっくりとお湯を注いでから、内蔵の網を押し下げるだけ。

道具も手間もぐっと少ないのですが、抽出したコーヒーはオイルが多めで香りがよく、ハンドドリップとはまた違う魅力を楽しむことができます。

フレンチプレス

フレンチプレスのよいところは、温かいコーヒー以外の用途にも使えるところ。たとえば、今はやりのコールドブリュー(水出しコーヒー)もフレンチプレスがあれば簡単につくれます。

基本的な手順は温かいコーヒーと同じ。フレンチプレスにコーヒーの粉を入れて、ミネラルウォーターを注いでから冷蔵庫に入れて半日置いておくだけです。

飲む直前に内蔵の網を押し下げてこせば完成。水出しならではの薫り高い風味とまろやかな苦みを家庭でも簡単に楽しむことができます。

フレンチプレスは紅茶をいれる道具としても使うことができます

また、フレンチプレスは紅茶をいれる道具としても使うことができます。こちらもフレンチプレスの中に紅茶の茶葉を入れて熱湯を注ぎ、フタをしてしばらく蒸らすだけ。カップに注ぐタイミングで内蔵の網を押し下げてこせば完成です。

コーヒーと紅茶の茶器を兼用にすると匂い移りが気になる方もいるかもしれませんが、内蔵のフィルターが金属製のものを使えば、洗剤で洗うだけでにおいもきれいに落ちて気になりません。

●耐熱ガラスのポットでお茶をいれる過程も楽しむ

耐熱ガラスのポットでお茶をいれる過程も楽しむ

茶器はひととおり持っているので、少し変わったものが欲しいという方におすすめしたいのが、耐熱ガラス製のポット。ストレーナーまでガラス製のものを選ぶと、茶葉がきれいに透けて見えて、いれる過程も楽しむことができます。

写真は、生のハーブを使ったハーブティー。レモングラスとタイムにレモンをひとかけ加えて熱めのお湯を注いだもので、夏の終わりの少し寂しいようなほっとしたような気持ちにちょうどいい風味でした。

さらに、専用の台とティーライトキャンドルを用意すれば、いれたお茶が冷めないよう保温することもできるので、秋の夜長のおともにも活躍しそうです。

水出しの緑茶

耐熱ガラスのポットは、水出しにも使うことができます。暑い季節にあるとうれしいのが、水出しの緑茶。

こちらもガラスポットに緑茶の茶葉とミネラルウォーターを入れて、冷蔵庫に半日置いておくだけで完成です。

透明なガラスポットでいれると、水出し緑茶の美しい色合いを余すことなく楽しむことができます。

台湾で購入した茶器のセット

ここからはおまけですが、うちには昨年の夏に行った台湾で購入した茶器のセットがあります。

行く前はそれほど興味がなかったのですが、台北の街を歩き回るうちに、お湯を沸かしながらゆっくり楽しむ台湾茶の世界に魅せられてしまい、現地で見つけた茶器を持ち帰ってきたものです。

聞香杯は酒杯です。

ほうろうのポット、茶海(白い小さなピッチャー)と聞香杯(お茶の香りを楽しむための背の高い茶器)は元々持っていたものを流用しています。聞香杯は酒杯です。

道具のすべてを本格的にそろえるのももちろんすてきですが、台湾で買ってきた必要最低限の茶器に手持ちの和の器を組み合わせて、その妙を楽しむのもいいものです。

台湾の旅が懐かしくなるたびに茶器を取り出して、ゆっくりと台湾茶を楽しんでいます。

ゆっくりと台湾茶を楽しんでいます。

最後は、目玉焼き、ソテーしたベーコンと野菜に、はちみつバタートーストという洋風の朝ご飯を、和の器に盛りつけたものです。ハーブティーを添えました。

ハーブティーの器はマグカップなのですが、絵つけが和風なので、和食器にも合います。

いつもの朝ご飯も器を変えるだけで雰囲気が変わり、新鮮な気持ちになります。

忙しい日々のなかで無理をするよりも、ちょっとしたひと手間で生活を楽しんでいきたいなと思います。