作家・作詞家として活躍する高橋久美子さんによる暮らしのエッセー。今回は春の野草、ヨモギでつくるおだんごのレシピを教えてくれました。

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第69回「春だ、野に出よう」

暮らしっく
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四月もまだ中頃だというのに、夏日が続いている。この季節、私はそわそわしはじめる。つくしからスタートして、ヨモギ、イタドリ、フキ、タケノコ、スギナ(つくしの成長後)、野草や山菜がバトンリレーするように次から次へと芽吹く。

野草
左から、カラスノエンドウ、ヨモギ、イタドリ。ヨモギは葉の裏が白いのを目印に

野草を追いかけて外へ出る。東京だって少し路地へ入れば野草は生えている。特に春のヨモギは香りも良く優しい味わいなので、たくさん取っておいて半分は干して野草茶に、半分は茹でてヨモギだんごや蒸しパンにする。野草は種類によっては一週間もすると姿が見えなくなる季節限定のごちそうだ。

 

●ヨモギだんごの作り方

ヨモギだんご

今日は、ヨモギだんごの作り方をご紹介しましょう。

ヨモギは茹でると思ったより少なくなるので、ザルに一杯くらいは取っておこう。茎の部分は硬いので、上の方の新芽の柔らかい部分をつむのがベスト。家に帰ったらよく洗い、鍋でたっぷりのお湯を沸かしヨモギを5分ほど茹で(指で潰れるくらい)、ザルにあげて冷水に浸しそのまま水を張ったボールへ入れ一日灰汁抜きをする。その時の茹で汁は捨てずにぜひお風呂に入れましょう! 極上のヨモギ湯ですよ。

スーパーへ行って、上新粉か、だんご粉か、白玉粉を購入。上新粉はうるち米でできていて、だんご粉は主に餅米、白玉も似ているけどさらに粒子が細かいそう。好みでどれを選んでもいいと思う。私は200グラムのだんご粉を買った。約4人分かな。ヨモギだんごとなると、あんこも載せたいよねえ。いつもは小豆を煮て作るけれど、今回は時間がなかったので初めて購入してみた。こしあん、つぶあん、煮小豆、真空パックに、缶詰…いろんなメーカーや種類があるのね。小豆コーナーで私は長いこと立ち止まって見比べる。市販のあんこってかなり甘いのが難点だが…お、「砂糖控えめ」なんてあるのね。今回はこの煮小豆の缶詰にトライすることにした。

ヨモギだんごセット

さて、翌日、灰汁が抜けたヨモギをミキサーにかける。ヨモギが硬いとミキサーでうまく潰れないので、そういう時は再度少量の水で茹でればいい。ザルにあげたヨモギと水100ccほどを入れミキサーにかけペースト状になったら、粉の中に全部入れる。粉の袋の裏に指定の水加減が書かれているけれど、手でヨモギペーストと粉を混ぜながら足りない分を少しずつ足す容量で、水の入れすぎに注意。ここで塩ひとつまみを入れておくと味が引き締まる。

お湯で煮る

そろそろ鍋にお湯をたっぷり沸かしておこう。きじが耳たぶくらいもっちりして全体が美しい緑色に染まったら、丸めておだんごを作りましょう。大きいのが好きな方は大きく、小さいのが好きな方は小さく、童心に戻って自由にね。私は、食べやすい一口サイズを手の腹で平ぺったくして熱が通りやすくした。あんこを包んで入れても大丈夫ですが、しっかりと中が出ないように包みましょう。

沸騰した湯の中に団子を入れ(三回くらいに分けて)浮かんできたら(底にくっつくことがあるので注意)さらに2分ほど茹で、水を張ったボールに取り出し表面を冷やす。冷やしすぎない方が、中がぬくぬくで美味しいよ。水気を切って、お皿に盛り付け、あんこを載せたら出来上がり!

ヨモギだんご完成品

 

おっときな粉を忘れたぞ。私は、半分はきな粉とあんこのダブルにした。ヨモギの香りがしっかりと感じられて、なんとも福々とした午後だった。

春の散歩で、気持ちいいと美味しいの両方に出会えた。ぶらりと外に出て、ひと手間かけて新鮮な野草を食べてみよう。