ミニマリストで整理収納アドバイザーのおふみさんが、シンプルに心地よく暮らすコツをご提案。今回は、なかなか捨てられない「思い出の品」について。「本当は手放したいと思っているもの」の見分け方、思い出を残すための3つの方法について伺いました。

◆前回の記事はこちら

書けないペンは捨てるに限る。文房具を減らしてラクになった話<おふみの暮らし絵日記・第4回>

思い出の品を「残したいもの」と「本当は手放したいもの」に仕分けてみる

片づけをある程度進めてきてぶつかる高い壁、それは思い出の品。手放せなくて悩んだことがある方も多いのではないでしょうか。
私も汚部屋状態から片づけを進めて、今では家財道具をハイエース1台分の物量まで減らしましたが、その過程で手放すのに最も難儀したのが「思い出の品」でした。

なぜ手放せないのか? どうやって手放したのか? 自分の経験からお話していきたいと思います。

思い出ボックス
思い出の品は靴のあき箱サイズの「思い出ボックス」だけ
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●思い出の品はなぜ手放す踏んぎりがつかないのか?

そもそも、なぜ思い出の品は手放すのが難しいのでしょうか。いちばんの理由は、代えがきかないからではないでしょうか。

本を手放しても絶版にならない限りは買い直すことができますし、国会図書館にはあるでしょう。ソファを手放してみて、やっぱりソファのある暮らしがいいと思えば、近しいものを買い直すことはできます。

世の中の大半のものは買い戻すことができますが、思い出の品は違います。世界にそのひとつしかなく、それでなければ意味がない代物です。
だからこそ、もう使っていなくても手放すことを躊躇してしまうもの。

しかし、思い出の品をすべて持ち続けられるかというと難しく、たとえば思い出の品が家の収納の8割を占めていて、普段の生活で使う実用品をしまう場所が設けられず部屋の表にあふれ出して足の踏み場もなくなっているとすれば、それは比率が偏っていると言えます。

人は思い出だけを食べて生きてはいけません。実用品なしに生活はできないのです。
思い出の品をひとつ残らず手放す必要は全然ありませんが、それでも所持量は意識してコントロールしていくべきだと考えます。
では、どのようにしてコントロールしていけばいいのでしょうか。

●「本当は残したいと思っているもの」は手放さなくていい

まずは思い出の品を一度床に並べてみましょう。
そしてそれらは「本当は残したいと思っているもの」と「本当は手放したいもの」のどちらなのか、自分に問いかけながら分類してみましょう。

手放すべきだと思われるけれど残したいもの、つまり本心では「残したいと思っているもの」とはどんなものでしょうか。
たとえば、「1年使っていないものは手放すべき。“今”にフォーカスして片づけよう」という片づけ方法を見てその通りだと思ったものの、いざ手に取った思い出の品を目の前にして、「これに関しては捨てられないな」と感じたとします。

人に手放した方がいいと言われたものでも、自分がそれを持ち続けたいなら無理に手放す必要はありません。
それをたまに取り出して眺めると思い出が蘇るというのであれば、それは観賞用という用途を持っていることになります。それなら、「思い出の品」枠として保管スペースを一定量確保し、そこに収まる分は持ち続けることにすればいいのです。

もう戻らない日々を思い出させてくれるもの、たまに取り出して見ると懐かしくさせてくれるもの。道具としての用は成していなくてもこれからも持ち続けたいもの。
そういうものを無理にひとつ残らず手放す必要はありません。
生活の妨げにならない程度に所持して、愛でていくのがいいと思っています。

思い出ボックス2

実際私も「思い出ボックス」と名づけて、靴が入っていた箱を用意し、1箱分に思い出の品をしまっています。

●意外とある「本当は手放したいもの」

とはいえ手放せない思い出の品の中には、手放したいけれど踏んぎりのつかないもの、つまり「本当は手放したいもの」が案外紛れているものです。これを見つけていきましょう。

たとえば、人からいただいたけれどまったく使わずに箱にしまったままの贈りもの。自分を想って選んでくれたものなので手放せないと考えてしまうかもしれません。
しかし、視界に入るたびに「使ってないから手放したいな。でも頂きものを手放すのは気持ちごと手放すみたいで気が引けるな」と思うなら、それは視界に入るたびにストレスを感じているということ。
使わないものを持ち続けて死蔵品にしてしまうよりも、ものの人生を考えたら次の使ってくれる人のもとへ譲れた方がものの有効活用ができていると言えます。

贈りものは受け取った時点で9割方の役目は果たしたと考えてみてはいかがでしょうか。もの自体がたまたま自分の生活に合わなかっただけで、気持ちの授受は完了しているので、贈り主の想いに感謝してものは手放してもよいのでは。

あるいは、以前は残したいものだったけれど、自分の中で気持ちの折り合いがついていくということもあります。時間の経過で、
「もうこれは物体としては残さなくてもいいかな」
「写真に撮って思い出を残せればそれでいいかな」
そう思えるように気持ちが変化していくということもあります。

自分の心に問いかけながら、分類を進めていきましょう。