年末年始の帰省を考える時季ですが、義両親とのトラブルから、「義実家には帰らない」という人も少なくありません。

ESSE編集部は、義両親との関係に悩む吉田美樹さん(仮名・大阪府・45歳)を取材。
「『嫁失格』と言われたこともあり、同じ墓には入る気はない」と断言する吉田さん。トラブルの経緯を語ってもらいました。

家族トラブル
義実家には帰らない!と決めている人も…(写真はイメージです)

努力を認めてくれない義父母に「嫁失格」と言われて…。もう同じお墓に入りたくない

「実家に帰る? なんで嫁に取ったのに、向こうへ行くんだ!」
新婚旅行から帰り、その足で向かった夫の実家。あいさつをすませ、「次は私の実家へ顔を出します」と伝えたとたん、義父が顔色を変えてわめき立てました。

呆然とする私を尻目に、夫はやれやれ、という表情、義母はずっと下を向いていて…。私、大変なところへお嫁にきちゃったのかもと思ったその日がすべての始まりでした。

義父は頑固で偏屈で、なににおいても自分がいちばん、という性格。親せきから疎まれ、近所ともトラブルが絶えない人でした。
一方義母は、そんな義父だけが頼りで義父の言いなりだったんです。

●頑固で偏屈な義父。義父のいいなりの義母

それでも新婚の頃は、なんとか気に入られたくて、あるとき、自宅に義父母を招いてご飯をふるまいました。義父は、ホウレンソウのシャキシャキ感を残したゴマあえを口にしたとたん、バーンと箸を置き「こんなかたいもん食えるか!」と。

また、ある年の大晦日に、夫の実家の寒いキッチンで1人洗い物をしていたら、義父が入ってきて大声を出しながら、窓をあけ放ち、ストーブをブチッと消してしまったのです。なぜこんなにストーブをたくのか、ということだったようですが、悲しかった。

義父母の誕生日にプレゼントを渡せば、「ムダなお金は使うな」と怒られる。そのくせ、還暦には、息子夫婦がお金を包んで持って来ないと激怒。

一方で、孫には、お正月や誕生日など、節目にお金をくれました。私はすべて子ども名義の口座に貯金していたんですね。そしたら、あるとき、私の目の前で「お母さんに金をもって行かれるから、口座番号を教えろ」と子どもに言い放ったんです。あきれるやら悲しいやら。

夫にがんが見つかり手術を受けることになったのは、下の子がおなかにいるときでした。

手術室の前には、義父母と身重の私。ごく初期のがんで、1時間程度で終わるはずだった手術が、なぜか長引いていました。

義母が途中で「なにかあった」とオロオロし始め、錯乱し「私、もうダメ」と病院を飛び出してしまった。義父は「あとは頼む」と言い残し、追いかけていきました。

ひとり残されたときのあの不安感は、今も忘れられません。なんとか仲よくしようと思っていた気持ちがプツンと切れたのはあの瞬間でした。

●実家の方を向いてばかりで守ってくれない夫に不満

その後、夫が大阪に転勤になり、子どもも大きくなったこともあって、家族そろって義父母の家を訪ねることが難しくなりました。

私も義父の顔を見たくもなかったので、足が遠のき、夫が九州方面に出張のときだけ顔を出す程度に。そんな夫を義父は、「近所に離婚したと思われる、そろって帰って来い」と罵倒したそうです。

夫は、家事にも育児にも協力的で、“父親”としては申し分ないのですが、義父に対して意見ひとつ言えないことに、私はだんだん頼りなさを感じるようになっていました。

反抗してもムダだとわかっているからこそ、受け流しているのでしょう。でも、実家の方ばかり向いて、守ってもらえないことにいらだちを感じてしまって。つい最近も義父母のことでケンカになり、私の言葉にカチンと来た夫が、「『あの女は吉田家の嫁失格だ』と言っていたぞ」。大した家じゃないのに、なによ、それ! と…。

それでも今は距離があるからなんとかやっていますが、気になるのはあと10年もすれば夫が定年を迎えることです。義父母は当然家族そろって帰ってくると思っています。

一方、私はそんなつもりはいっさいなし。夫は、長男としての責任を感じて板ばさみ状態で、考えることを先のばしにしています。

嫁の私が、「縁を切りたい」「あんな人たち縁を切ればいいじゃない」と思うことも、やはり血のつながりは強いですね。

「この10年のうちにいなくなってくれれば」。苦悩した夫が口にしたこの言葉こそが、夫の正直な気持ちなのかもしれません。