なんでも教えてくれる人やみんなに対して優しい人、リーダーシップのある人など、一般的には「いい人」のはずなのに、イライラしてしまったり煩わしく感じてしまったりすることはありませんか? 「それは決してあなたの性格が悪いわけではなく、理由があるのです」と語るのは、進化心理学者の石川幹人さん。今回は石川さんに、そうした人の特徴と上手なつき合い方を教えてもらいました。

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「いい人」のはずなのに、イライラしてしまう理由とは?

イライラする女性
「いい人」なのに、イライラしてしまう…。これって自分が悪いの?(※画像はイメージです)
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石川さんが3月に発売したばかりの『いい人なのに嫌われるわけ』(扶桑社)では、人間の生物学的な進化が心理学や社会学に与える影響について研究する「進化心理学」という視点から、「いい人」なのに嫌われてしまう原因を解き明かしています。

「人類は、進化の過程でサルだった時代に獲得した本能や、ヒトとして狩猟・採集をしながら集団行動を始めた時代に身につけた特性を今も受け継いでいます。しかし、かつて生きるために必要だった本能や特性は、急速に発達した現代社会の仕組みや構造のなかでだいぶズレてきてしまっている。ですから、太古の時代には『いい人』の条件や特徴が、現代では通用しなくなったり、ときには『いやな人』と見られてしまうケースがあるのです」

今回は、「ママ友コミュニティ」や「ご近所づき合い」で出会いやすい2つのタイプと、上手なつき合い方を石川さんに教えてもらいました。

 

だれにでも優しいけど、どっちつかずな「八方美人さん」

八方美人

ムードメーカーで、人づき合いを断れない「八方美人さん」。人当たりはよく優しくていい人だけど複数のグループにもいい顔をして交流するため、折り合いの悪いグループ同士だと、どっちつかずだとやっかまれて、トラブルの原因になりやすいという。

「ヒトには生まれつき他人を味方か、敵かに分類する機能が備わっています。例えば、自分と似たような境遇や価値観、生活を送っている人と接したときに無意識に仲間だと思い安心感を得るのは、生得的な反応なのです。

狩猟・採集時代のような小集団なら、同じグループ=仲間ということが成り立っていましたが、現代では生まれた背景や価値観の違う集団ともつき合わなければならず、シンプルな仲間関係が成立することはめったにありません。仲間だと感じている人が、違うグループの人と親しくしているのを見ると、願望とは異なることに失望して、嫉妬や憎しみに変化してしまうことがあるのです」

 

●「自分だけ」と独占したくなる気持ちを抑えるのも大切

会話する女性

そんな「八方美人さん」と、うまくつき合うにはどうすればいいでしょうか。

「個人個人が多様な人間関係と繋がりを持っている現代では、一枚岩で仲よくできるような集団は現実的に考えて存在しません。友人に紹介してもらった友人が気に食わない、ということがあっても当たり前です。仲間全員が自分と同じ価値観を持っていてほしいという幻想や願望は、人間関係のトラブルの引き金になるだけ。『八方美人さん』本人は悪気がないので、自分だけと独占したくなる気持ちも抑える努力をしてみましょう」