ペットの柴犬の写真をツイッターに投稿し続け、その自然体のかわいさが人気となっている@inu_10kg。ESSEonlineでは、飼い主で写真家の北田瑞絵さんが、「犬」と家族の日々をつづっていきます。第44回は、犬と行った「初めての和歌山の海」についてです。
初めて来た和歌山の海に大興奮の犬
「犬は和歌山の海見るの初めてやなぁ」
すべての画像を見る(全26枚)車窓の向こうで、犬の後頭部越しに海が見えてきた。私がそう言うと運転席で母が「淡路島で一緒に見てたからか、そんな気せぇへんなぁ」と驚いた。
淡路島には三度と訪ねているが、気づけば地元・和歌山の海へ連れて来たのは今日が初めてだった。二月にしては暖かな陽が差す朝、母と犬と和歌山は加太にやってきた。とはいえ県内で、あっという間の道のりだった。
加太海水浴場の駐車場に到着すると、すぐそばには漁港と北ノ浜公園が隣接されていた。
漁港からは汽笛の音が鳴っている。駐車場内でふくよかな猫らが日向ぼっこをしていた。漁港の傍らには猫が棲んでいるのは本当なんだと感激した。
浜辺にはこんもりとした砂山があって、さっそく犬は穴掘りに取り掛かった。やわらかな砂山を掘り進める勢いはどんどんと増して、掘っているのか飛び込んでいるのか、相撲のつっぱりにも見える。
手足をすくわれながら登頂すると、一息ついたのか潮風を浴びていた。このとき犬の瞳にはどんな見晴しが映ったのだろう。
ひらたい波を静かに繰り返す、凪いだ海だった。水平線の向こうには友ヶ島、さらに奥で淡路島が肉眼で見える。inubot回覧板第40回に登場した淡路島在住の友人・横山にLINEで淡路島を見ていると写真を送る。
すると偶然にも横山は淡路島内で和歌山に近い場所にいるらしく、写真を送ってくれた。海をはさんで対面している気持ちになり「見えてるー!?」と送ると「手振ってるよー!!」と返事がきて、優しい奴だ。
海にやってきても犬は母の足を両手でギュッと掴み、自宅の庭先となんら変わりないふたりだった。母が犬におやつを渡そうとすると、飛び跳ねて急かすのも日常風景。
普段ならおやつキャッチもお手の物だが、興奮からかおやつよりも高く跳ねてしまっていた。
青い海にまっしろなお腹が映えている。