女優・川上麻衣子さんの暮らしのエッセー。 一般社団法人「ねこと今日」の理事長を務め、愛猫家としても知られる川上さんが、猫のこと、50代の暮らしのこと、食のこと、出生地でもあるスウェーデンのこと(フィーカ:fikaはスウェーデン語でコーヒーブレイクのこと)などを写真と文章でつづります。
第10回は、56歳になったばかりの川上さんが感じる「ものの捨て方、残し方」について。

猫とフィーカ
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川上麻衣子さんが60歳までにやりたい「もの」からの解放

年が明けると間もなくして、一つ歳をとる私はグッと還暦が近づいてきたような、そんな複雑な心境で過ごしています。多くの皆さんが一様に思うように、私も60歳までにやりたいこと、やっておきたいことが日々溢れていて、何から手をつけようか思い悩みます。

猫と女性
自宅でくつろぐ愛猫タックと川上麻衣子さん

真っ先に思い浮かぶのは、やはり増え過ぎてしまった「もの」たちからの解放でしょうか。

●思いきってすべて捨ててしまたい。でもできない

思いきって、すべて捨ててしまいたい衝動にかられることもあります。これはかなりの決断を持って行動を起こさなければ、いずれ体力が追いつかず、とんでもないことが待ち受けていることは、自分の両親を通じて痛いほどわかっています。

たくさんの食器
川上さんがこれまでに集めた食器の数々。60歳に向けどうしていくか向き合い中

わかっていながら、毎年毎年衣替えの頃になれば、ほとんど着ない洋服にため息をつき、引っ越しとなれば、使わない食器の数々に呆れてしまいます。

以前は賃貸マンションの更新の度に、新居に引っ越すほどの『引っ越し魔』でしたから、引っ越しが、無駄なものを処分するよいきっかけとなっていましたが、最近は引っ越しに要する体力の消耗を思うとこれもままなりません。(17歳から現在に至るまでに約15回は引っ越しをしてきた、経験話はぜひまた別の機会にしっかり書き上げたいと思っていますのでお楽しみに!)

●ほぼ物置化した、実家の自分の部屋をのぞくと…

そんなわけで改めて考えているのですが、そもそも、「昭和生まれ、高度成長期に育った私たち」は、なにを捨てるべきなのでしょうか。リカちゃん人形とほぼ同級生の私にとって世の中は、楽しいもの憧れのものたちで溢れていました。

だれもが中流のちょっと上の暮らしをしているという共通意識の中、小学生となれば文房具は、象が乗っても壊れない実用性よりも、サンリオの登場によって女子たちにはたまらなくワクワクするものに変化していきました。キティーちゃん派、パティー&ジミー派、マイメロディー派などが主流の中、私はバニーちゃん派でした。多分もうその姿を知る人は、少ないかもしれませんね。

先日、今では家全体が物置と化しつつある実家に戻り、17歳で止まってしまった、明らかに物置となっている私の部屋からは懐かしい当時のものたちがたくさん出てきて、しばらく思い出に浸ってしまいました。

 

時計、キーホルダー、手紙
川上さんが子どもの頃に使っていた時計と、思い出の手紙&キーホルダー

小学6年生の頃に「腹心の友でいようね」と約束を誓いあった、とてもとても頭のよい親友のことも懐かしく思い出したところです。