コメディからシリアスまでさまざまな役柄に挑戦し、表現力や役柄への解釈の高さにも定評がある、磯村勇斗さん。出演の舞台『泥人魚』で感じることを語ってくれました。
「強い熱量を持つ舞台。全力でぶつかり続けています」
「出演のお話をいただいたときは、とにかくぶつかっていくしかない! と。強い思いが湧きました」
そう熱っぽく語ってくれた磯村勇斗さん。2021年12月、久しぶりの舞台に挑みます。作品は『泥人魚』。1960年代以降日本のアングラ演劇を代表する劇作家・唐十郎さんの戯曲で、共に舞台に立つのは宮沢りえさん、風間杜夫さんとそうそうたる顔ぶれです。
「稽古は台本の読み合わせから始まりましたが、皆さんの感情の高まりが強く、本当にすばらしかったです。エネルギーを全力で出しきる、引いたら負け! という雰囲気で。このまま開幕しちゃうんじゃないかと思ったほどです(笑)。そのおかげで、僕も自身の役の感情の起伏や、話のリズムがつかめたような気がしました」
●「唐さんの物語は頭で考えるよりも心で感じるもの」
磯村さんが演じるのは、長崎県の諫早湾で働くも干拓事業による仲間の対立に絶望し、今は都会の片すみで暮らす蛍一という青年。
「脚本を何度も読み、それでも『どんな男だろう?』と自問自答。彼は元漁師でしたが、住んでいた土地や仲間を捨てたんですよね。後悔の念をもちつつも、自分が逃げざるを得なかった地元の真実を知りたいと願っている。そのうえで物語全体の受け皿にもなるという、難しい役だと感じました」
ドラマや映画など映像作品のイメージが強い磯村さんですが、10代の頃から地元・静岡の劇団に所属するなど、舞台とのつき合いは長いそう。それだけに、作品に対してもこんな感想が。
「唐さんの物語は頭で考えるよりも心で感じるもの。とにかく言い回しが独特で、演じている者にとっても、その“遊び心”を楽しめる部分がありますね。とはいえただ幻想的なだけでなく、公共事業による地元民の分断という社会的な問題提起も含まれていて…。唐さんが紡ぐセリフのひとつひとつ、登場人物の会話の流れのなかから、汚れてしまった海が浄化されていくイメージも受けました」
●「体力の維持のために生活リズムを整えます」
そして本番中は「とにかく体力を維持することを心がけたいです」とも教えてくれました。
「初日の稽古が終わった時点で『甘いものが食べたい!』と思ったほど(笑)、エネルギーを消費する作品なので、とくに栄養管理には力を入れたいなと思います。料理はまめにする方ですが、得意メニューと言えるものはなくて、思い立ったらパッとつくってしまいますね。今回もタンパク質を中心に、最終日まで乗り越えていけるメニューを自分で組み立てました。と言っても、そんなストイックな献立でもないですけれど。あとは生活リズムの見直しも心がけたいですね。昼と夜の2回公演の日もあるので、なるべく早く寝るようにしたいです。僕、なにもない日は明け方まで起きていたり、オンラインゲームに熱中したりと、基本は夜型なので(笑)。稽古の間も、家に帰って台本を読み直し、セリフを覚えて…とやっていたら深夜になることも多かったので、体をねぎらうためにも、寝る時間はキープしたいと思います」
発売中のESSE新年特大号ではこのほかに、年末恒例の大掃除についてや、『仮面ライダーゴースト』出演を経て思ったことなどを教えてもらいました。
ぜひ手にとってみてくださいね。