女優・川上麻衣子さんの暮らしのエッセー。 一般社団法人「ねこと今日」の理事長を務め、愛猫家としても知られる川上さんが、猫のこと、50代の暮らしのこと、食のこと、出生地でもあるスウェーデンのこと(フィーカ:fikaはスウェーデン語でコーヒーブレイクのこと)などを写真と文章でつづります。  第8回は、「子どもをもたない50代」そして「家族」について。

猫とフィーカ
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川上麻衣子さんが思う50代、そして「子ども」のこと

2021年もあっという間に年の瀬。この1年はコロナのために、年末や年始の行事がことごとく、自粛せざるを得ず節目を感じることが難しい日々でした。

お正月に両親の元を訪れる事も控えなければならなかった2021年の幕開けでしたから、改めて「家族」を考える方も多かったのではないでしょうか。

●学生時代には想像しなかった50代の現実

猫を抱く女性
女優・川上麻衣子さんと愛猫たち

55歳になった私の周りでは、家族の形もさまざまとなり、初孫に喜ぶ友人もいれば、親の介護に追われる友人もいます。離婚をきっかけに再び一人暮らしを始めた友人もいます。

自分自身や同級生たちの今ある姿は学生の頃には想像もできませんでした。「彼女があんなに早く子どもを産むなんて」とビックリしたり、「まさか彼女が社長になるなんて」などなど。幼い頃に描いていた未来と現実はだいぶ違うようです。

だいたい、学生の頃に思い描いていた「55歳」はかなり老け込んで、人生の余暇を楽しんでいるイメージさえありましたから、現在の自分を思うと、そのギャップに驚きます。

●孫を抱く祖母と同じ年齢になって気づいたこと

先日ふと、古いアルバムを眺めていたら、生まれたばかりの私を抱く祖母の写真が目に入りました。

27歳で祖母は母を産み、母もわたしを27歳のときに産んでいるので、写真に映る祖母は54歳の頃ということになります。しっかりおばあちゃんの風情である祖母の姿に時代を感じました。

家族写真
幼少期の川上さんと祖父母、母

余談になりますが、このわたしの祖母は「おばあちゃん」と呼ばれることを嫌い、必ず「おばあちゃま」と呼ばなければならなかったことも思い出しました。

55歳。その年齢を実感できずにいる、1つの要因として、わたしに子どもがいないこともあるのかもしれません。母となった友人たちの話を聞いていると、子どもの成長により「時」を感じることが多いようです。

そんな彼女たちの話を耳にすると、子どものいない人生を自分が歩むとは思っていなかったことを、しみじみと考えたりもします。