家じゅうのものを3割減らす“7割収納”を実践すれば、家計もきちんと管理できるようになる。そう話すのは、“7割収納”の考案者、片づけアドバイザーの石阪京子さん。
新年度が始まったばかりの今は、まさにぴったりの時季です。

「家の収納を見直すことで、家族のお金の使い方が劇的に変化。ものを今の7割だけもち、自分で管理できるようになると、これまでの7割の予算で生活できるようになるなど、お金の管理力が養われます。そして、浮いた分のお金が貯蓄に回せるようになります。片づけは、お金の使い方を学ぶいいレッスンなんですよ」

収納につまずく原因を一挙に解決! お金が貯まる収納Q&A

これまでに400軒以上の片づけレッスンを手がけてきたという石阪さんに、7割収納をキープするには? 不用品の 処分はどうしたらいい? などなど、「お金が貯まる収納」を成功させるための疑問に答えてもらいました。

●Q1:理想の暮らしはどうやって見つければいい?

理想の暮らしはどうやって見つければいい?
片づけを成功させるには、まず理想の生活をイメージして
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【A】片づけを成功させるには、まずはじめに理想の暮らしをイメージすることが基本。ですが、どんなふうにイメージしたらいいかわからないという声も多く聞かれます。

そんなときは、静かなカフェやきれいな自然のなかで、自分が大切にしたいこと、毎日どんなものを食べて、どんな服を着て、どのように年を重ねたいかなどを思い浮かべてみましょう。
週末にのんびりおいしいコーヒーを飲みたい、穏やかに子どもと接したい、資格取得のために勉強する時間をつくりたい、などの希望を思いつく限り、ノートやスマホに書き出してみてください。

ぼんやりとした思いが少しずつ形になり、関連する情報が目にとまるようになって、自分が理想とする暮らしが見えてきます。

●Q2:家族のものが上手に片づけられないのですが…

家族のものが上手に片づけられないのですが…

【A】個人のものを収納するプライベートスペースと、家族共有のものを収納するパブリックスペースを分けましょう。そして、まず、自分のスペースを整理し、次に、家族で使うキッチン、リビング、玄関を美しく整えます。

片づけが苦手な子どもには、使ったものは元の場所に戻すことを教え続けてください。社会に出たとき、必ず役に立ちます。

夫が片づけが苦手な場合は、夫のスペースを決め、散らかしっぱなしのものはそこに戻すことでストレス軽減を。パブリックスペースが整っていると、家族にも快適さが伝わって、自然に片づける気持ちが生まれてきますよ。

●Q3:7割収納をキープできません。なにかいい方法はある?

7割収納をキープできません。なにかいい方法はある?

【A】一日の終わりに、使ったものを元に戻すリセットタイムをつくりましょう。リセットに15分以上かかったら、収納が7割を超えたサイン。家の中をしっかり見直して。ゴミの日に部屋をパトロールして、「余計なもの」をチェックするのもおすすめです。

また、季節ごとの衣替えも、今の自分と向き合うチャンス。必ず行って、「大好きなもの」「必要なもの」を厳選しましょう。買いたいものがあったら、なにを手放すか考えて収納スペースを確保する習慣も忘れないこと。

●Q4:失敗しない収納グッズの選び方を教えてください

【A】収納グッズを買うのは、「片づけが完全に終わったあと」が鉄則。先に買うと、サイズが合わなかったり、ものが減って収納グッズそのものがムダになりがち。全部片づけきったあとに、しまうものや収納スペースのサイズを測ってから探しましょう。
家じゅうで使い回せて、中身が見えるポリプロピレンの整理ボックスなどが便利です。

●Q5:不要になった家具はどうすればいい?

【A】使い道がない家具を部屋に置いていると、中になにか入れたい心理が働いて、財布のひもが緩んでしまいます。思いきって処分しましょう。
「収納用の家具があった方が部屋が片づく」と思いがちですが、じつは逆で、あればあるだけものは増えていくもの。必要最低限の家具だけ置けば、ムダにものを買わなくなり、部屋も広く使えて一石二鳥です。

●Q6:ものが多すぎて処分に困っています

ものが多すぎて処分に困っています

【A】不用品の処分にメルカリやヤフオクなどを利用する人は多いと思いますが、家じゅうを片づけてから出る不用品は相当な量に。ひとつずつ売却していては、時間がかかって片づけが一向に進みません。

まずは片づけを最優先。売る場合は、手間がかからないリサイクルショップなどで一気に手放すのが効率的。

メルカリやヤフオクなどは、家をすべて片づけ終わってひと段落したあと、定期的な不用品チェックで利用しましょう。家が散らからず、現金収入も増やせます。

●Q7:片づけていると出てくる書類はどうすればいい?

片づけていると出てくる書類はどうすればいい?

【A】片づけの最中は驚くほどたくさんの書類が出てきますが、その都度確認すると手が止まってしまいます。考えずに捨てられるDMなど以外は、いったん段ボールや紙袋に入れておきましょう。

そして、片づけが終わったあと、すっきりして落ち着いた状態になったリビングで見直しを。書類の整理は時間と集中力を要しますが、書類は衣類と違って、中身を読みさえすれば要不要が明白。必要な書類を残し、「暮らし」「健康」「マネー」などのフォルダーに分類しましょう。

片づけきってしまえば、二度と書類に悩まされることなく、必要な書類だけを保管できます。

●Q8:高く買った服が捨てられません

高く買った服が捨てられません

【A】衣類は、「減価償却していくもの」と考えましょう。たとえば、オールシーズン着られるブラウスが気に入って1万円で買ったとしても、50回着たら、1回当たりの費用は200円程度。高額な洋服でも、十分役目を果たし終えたと思えるのでは?

逆に、減価償却できるほど着ていないものの、着る気持ちになれない服は、高くても潔く処分しましょう。着ない服にいつまでも固執していては部屋も片づかず、家計に変化も生まれません。思いきって処分してスペースに替え、次に失敗しないための勉強代と考えた方が生産的です。

●Q9:衣類をうまく仕分けるコツはありますか?

【A】まず「春夏物」「秋冬物」に分け、大好きな服からピックアップ。次に、手放す服として「1年以上着ていない服」「好きだったけど傷んでいる服」などを選びます。時間をかけず、パパッと判断した方が迷いません。

子ども服のお下がりが大量にある場合も、ひとつずつ仕分けるのは時間のロス。タイミングに合わせてすぐ使えるように、「セレモニーで使える服」「上質な服」に絞って保管しましょう。あとは処分して、必要なときに、安価で使い勝手のいい服を買う方が効率的。

●Q10:日用品をセールでたくさん買ってしまいます

【A】いくら安くても大量のストックを保管するために、家が散らかり、快適な衣食住が得られないのは本末転倒。家計的にも、小さなお金がボロボロとこぼれている状態です。

ストックは、安いから買うのではなく、使用頻度が高い日用品、非常時にも対応できる備蓄品などを「必要だから買う」ことが重要。よく使う日用品のストックをひとつだけ持つ、災害時用の備蓄品は製造日の古いものから使って使った分を買いたすなど、ストックの定数と保管場所を決めておくと、増えすぎ防止になります。