家がきちんと片づいている人。お金をきっちり貯めている人。一見、別の話のようにも聞こえますが、意外にも、そこには共通のセオリーがあるのです!

「ポイントは、お金も収納も“7割”を心がけること」と話すのは、片づけアドバイザーの石阪京子さん。
暮らしを大きく変える“7割収納”の考え方を教えてもらいました。

片づけも家計も「3つの視点」をもつことが基本です

今の暮らしやお金を俯瞰して現状を認識しよう
貯まる人と片づけられる人の共通点とは?
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収納スペースには7割しかものを置かない“7割収納”で、家じゅうを片づけると、家計もスリムになる、と話す石阪さん。
「今までの7割にものを減らして、ものをきちんと管理できるようになると、同時にお金の管理力も養われて、これまでの7割の予算で生活できるようになるんです」

そして、片づけとお金は、具体的な見直し方も同じ。
「家を片づけきるには『魚の目』『鳥の目』『虫の目』の3つの視点が大切で、これらは家計管理にも役立ちます」
まず「魚の目」で将来の暮らしをイメージし、「鳥の目」で家を俯瞰して部屋の役割を見直し、「虫の目」でものを使いやすく収納する。3つの視点をもっていれば、どんな家でもみるみる片づいて、リバウンドしなくなると言います。

同時に、暮らし全般を3つの視点で見る習慣が身につくので、お金の使い方や貯め方が変わるそう。

「将来の貯蓄額をイメージし(魚の目)、お金の流れをつかんで見直し(鳥の目)、1日の予算内で生活するように(虫の目)なるので、ムダづかいがなくなって、お金がどんどん貯まるようになります」

片づけにおける「魚の目」:将来の暮らしをイメージする 貯金における「魚の目」:将来の貯蓄額をイメージする 片づけにおける「鳥の目」:家を俯瞰して部屋の役割を見直す 貯金における「鳥の目」:お金の流れをつかんで見直す 片づけにおける「虫の目」:ものを使いやすく収納する 貯金における「虫の目」:1日の予算内で生活する

今の暮らしやお金を俯瞰して現状を認識しましょう

ここでは、現状を把握して見直す「鳥の目」のポイントを紹介します。鳥のように上から全体像を捉えて、客観的に俯瞰視する視点で、収納とお金の現状を確認していきましょう。

暮らしではそれぞれの部屋や収納スペースの役割を、お金ではおおまかな家計の流れを見直します。家の間取りや暮らし方、一年間の収支を書き出すところから始めると、家とお金の「今」が見えてきて、改善すべき点をしっかりと把握することができます。

●暮らしの現状をチェック

1.間取り図を見ながらどんな収納スペースがあるか把握する
間取り図を見ながらどんな収納スペースがあるか把握する

まず、自宅の間取り図を用意するか紙に書き、家じゅうの収納スペースが「どこにどのくらいあるか」を確認します。次に部屋を占領しているものを調べ、「どんなジャンルか」「だれのものか」をチェック。

その際、写真を撮るとより客観的に見られます。さらに、家族で使うパブリックスペースと個別のプライベートスペースを分け、ものの管理者をはっきりさせておくと、片づけ後のきれいな状態を保ちやすくなります。

2.一日のタイムスケジュールを書いて自分の生活スタイルを知る
一日のタイムスケジュールを書いて自分の生活スタイルを知る

起床から就寝までの基本的なタイムスケジュールをふり返り、自分自身の生活スタイルを把握します。紙に書き出すことで、時間の使い方があらわに。

一日のうちで家事にかける時間がどのくらいあるかや、ものを管理できる時間がどのくらいあるのかがわかれば、片づけられない理由が明確になって、ものをもつ量を見直すきっかけになります。

●お金の現状をチェック

1.年間の固定費をすべて洗い出す

家族の収入を「なににどのくらい使っているか」を認識します。年収から俯瞰してみるために、直近の一年分を調べて収支を出しましょう。
まず毎月支払う住宅ローンや子どもの教育費など、固定費を洗い出すのが先決。家計に占める割合が多いうえに、引き落とし金額を把握していないケースが多いからです。
家計簿をつけていない場合は、ざっくりでOK。各項目の見直しも行い、減らせるものがないかもチェックして。
下のモデルケースを参考に、早速書き出していきましょう。

<固定費のモデルケース>

4人家族 (夫、妻、娘、息子)/年収400万円/持ち家 

住居費 (住宅ローン) (¥70,000/月) ¥840,000
水道光熱費 (¥20,000/月) ¥240,000
通信費 (¥30,000/月) ¥360,000
子ども費 (¥30,000/月) ¥360,000
こづかい (¥30,000/月) ¥360,000
保険料 (¥15,000/月) ¥180,000
貯蓄 ¥500,000

固定費合計 ¥2,840,000
(あれば車検代、固定資産税、帰省代などもプラスする)

2.年間の変動費をチェックする

ボーナスも含めた年収から、固定費を差し引いたものが変動費。食費や日用雑費、交際費など、日々変わる出費の合計です。
モデルケースでは、一年で使った金額は116万円。ふり幅が大きい変動費は、毎年調べて経年変化を見れば使いすぎがわかります。

年収/¥4,000,000 ― 年間固定費/¥2,840,000 = 年間変動費/¥1,160,000

「鳥の目」を意識すると、お金と収納の現状がクリアに見えるはず。
何事も、行動を起こす前の準備が大切。じっくり腰を据えて、まずは現実を見つめてみましょう。