51歳の漫画家・古泉智浩さん。古泉さん夫婦と母(おばあちゃん)、里子から養子縁組した6歳の長男・うーちゃん、里子の3歳の長女・ぽんこちゃんという家族5人で暮らしています。
今回は、うーちゃん因縁の相撲大会と、ぽんこちゃんのパワーについてです。
うーちゃん、鬼滅ごっこではなく相撲に勝ってくれ!古泉さんの願いはかなうのでしょうか
6歳の養子の男の子、うーちゃんと3歳の里子のぽんこちゃんが通っている保育園で相撲大会がありました。ぽんこちゃんは初めての大会です。
うーちゃんはこれまで3年間、不戦勝が1回あっただけで対戦では「0勝」です。なんとか1回戦だけでも勝って、勝利を味わってほしいと切に願っていました。
「ぼくは男の子の中で2番目に弱いんだ」
たしかに走るのも遅く、体も大きくなく、力も強くない。そんなことを自覚して毎日保育園に通うのはつらかったのではないでしょうか。
●描く絵まで元気のないうーちゃん。古泉さんの不安が募ります
うーちゃんのクラスの作品展が展示スペースに飾ってありました。そこにはられたうーちゃんの絵は、魚や人が小さく密集して描き込まれて、余白が大きく、色は濁ってくすんでいます。
保育園生活が伸び伸びとしていなくて彩りがないことを表しているのではないかとかわいそうになりました。
そのことをママに伝えると、
「男の子の絵は大体みんなそんなもんだよ」
ママのスマホにはうーちゃんの絵を中心に周りのお友達の絵も映っています。たしかに、女の子の絵はモチーフが大きくて伸び伸びとして彩りが鮮やかでとても楽しそうです。
それに比べると、うーちゃん以外の男の子の絵はたしかに、うーちゃんと同様に貧相なものばかりです。
うーちゃんのクラスは男子と女子の仲があまりよくなくて、女子が威張っていて男子はみんな小さくなっているとのことでした。
しかし、その弱い立場の男子の中でも、弱い方から2番目なんてますますつらいではないですか。
●相撲大会はトーナメント制。古泉さんの思いよ、うーちゃんに届け…!
今回の相撲大会のトーナメント表がホールにはりだされていました。うーちゃんの1回戦の相手はMちゃんという女の子です。いくら教室で威張っていても、女子に体力で負けるわけにはいきません。Mちゃんには申し訳ないけど、ぜひとも勝利して保育園相撲大会0勝の汚名を返上してほしい。
そうして迎えた相撲大会、うーちゃんはMちゃんにあっさり負けたそうです。相撲大会は非公開なのですが、写真がスライドで玄関のモニターに映し出されています。
うーちゃんとMちゃんの対戦している写真を見ると、Mちゃんはうーちゃんよりひと回り大きい、頭ひとつくらい身長差がありました。幼児は女子の方が発達が早いことを忘れていました。
●うーちゃんと違って、よく食べパワーに満ちあふれるぽんこちゃん。取組の結果は…?
一方、今年初参戦のぽんこちゃんは、うーちゃんと違ってよく食べてよく眠り、ウンチもモリモリ出す子なので期待が高まります。ウンチは一日に2回も3回もします。
逆を言えば、うーちゃんはさっぱり食べずガリガリで、寝つきが悪くてウンチもあまり出なくてお医者さんに相談したら、食べないせいだと言われるような子でした。
ぽんこちゃんにはなにも心配していないのは単なる2人目あるあるだけではなく、ぽんこちゃんに本来備わった生命力がうーちゃんを圧倒しているせいだと思うのです。
なので、ぽんこちゃんのトイレトレーニングに気合が入らないのは、時が経てばそのうち自分からやるって言い出すだろうと漠然とした期待があるからです。
ところが、ぽんこちゃんも1回戦で敗退してしまいました。逆にびっくりしたのですが、1回戦の対戦相手がそのまま一気に連勝して優勝してしまったので、来年はその子に当たらなければ大丈夫なのではないでしょうか。
そんなぽんこちゃんはプチトマトが大好きです。次々と口いっぱい頬張って、口の真ん中が閉じなくなり汁を垂らしていると思ったら、噛むことができなくなって吐き出します。
「ぽんこちゃん、一つお口に入れたらごっくんしてから、次のを食べるんだよ」
口に詰めるだけ詰め、人に盗られるとでも思っているのか、両手に一つずつ持っています。
●うーちゃんもご多分に漏れず『鬼滅の刃』が大好き!
うーちゃんは『鬼滅の刃』が大好きです。
「うーちゃん、禰豆子(ねずこ)ってぽんこちゃんみたいだね」
『鬼滅の刃』を見て、炭次郎のように妹の事を大切に思う心を育んで欲しいと願って言いました。
「ちがう! ねずこはNちゃんだ」
保育園の同じクラスでうーちゃんが好きなNちゃんをねずこだと言います。
「でもさ、Nちゃんは同じ年でしょ。ねず子は妹なんだからぽん子ちゃんがねず子だよ」
「ちがう!」
「にいにいちゃ~ん大好き~」
ぽんこちゃんがうーちゃんに両手を広げて抱きつこうとしました。
「水の呼吸! 壱ノ型!」
クリスマスで買ってもらった日輪刀でぽんこちゃんを攻撃しようとして、まるで鬼扱いです。せっかく妹に好意を寄せてもらっているのにひどい態度です。
【古泉智浩さん】
漫画家。1969年、新潟県生まれ。93年にヤングマガジンちばてつや賞大賞を受賞してデビュー。里子を受け入れて生活する日々をつづったエッセイ『
うちの子になりなよ ある漫画家の里親入門』、その里子と特別養子縁組制度をめぐるエピソードをまとめたコミックエッセイ『
うちの子になりなよ 里子を特別養子縁組しました』など著書多数。古泉さんの最新情報はツイッター(
@koizumi69)をチェック!