作家・作詞家として活躍する高橋久美子さんによる暮らしのエッセー。コロナ禍で迎えることになる年末年始。今年の久美子さんの過ごし方についてつづってくれました。

第36回「年末年始を自分らしく過ごそう」

暮らしっく
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●今年はみんな頑張った一年だった

いつもならそろそろ実家に帰る準備をする季節だけれど、今年は帰るのを諦めた人も多いのではないかな。親戚の集まりも、年末の餅つきも、母のお節料理も、楽しみにしていたものが全てなくなってしまってスケジュールがぽっかりと空いてしまった。
東京の家で過ごす年末年始。ポジティブに考えてみて、これはこれで楽しそうじゃないか。11月と12月がなかなかに痺れる忙しさだったので、大掃除だけして、少しゆっくりぼんやり過ごそうかなあ。

キッチン

大掃除は過炭酸ナトリウムを使うと、らくらくだ。酸素系漂白剤で自然に分解されるので、環境への負担も少ないし100円均一やドラッグストアで簡単に手に入る。洗濯槽の掃除でも以前紹介したけれど、30度~50度のお湯に溶かすと一番良く酵素が働く。

キッチン周りや、照明の傘、お風呂場など様々なところに使える優れものだ。スプレーボトル等に入れ、吹きかけて、しばらく置いておくとこすらなくても汚れが落ちる。あとは、さっと流すか、水拭きするだけでOK! グラスや急須の茶渋も、お湯を注いでそこに過炭酸ナトリウムを入れておくとピカピカになるよ。

こうして、大掃除も大体は片付いていく。

ここでもうひと頑張り、お節作りといきたいところだが、今年は知り合いの料理屋さんに頼むことにした。年末まで原稿の締め切りがあって…多分頑張ったらできるのだろうけれど、やりすぎないことも大切だなあと思う。特に今年は、みんな頑張った一年だから少々甘やかしてもいいでしょう。どんなお節が届くのか楽しみだなあ。

●柚子の皮で作ったお酒「柚香チェッロ」を年末年始の楽しみに

ビンに柚子の皮

その代わり、年末年始に飲む柑橘酒を仕込んだのだ! 12月頭に柚香(ゆこう)という柚子の仲間が徳島県上勝町からダンボールで届いた。柚香は柚子と同じ大きさだけれど、香りと酸はまろやかで果汁は多い。その皮を使ってレモンチェッロならぬ柚香チェッロを作った。レモンはもとより柚子の皮でもできるので、是非お試しあれ!

柚子と柚子の皮

用意するのは、柚子やレモン十個分と、スピリタス1本と砂糖と水だけ。まず、ピーラーで柑橘の皮を削いでいく(白いところが入ると苦くなるので気をつけてね)。柑橘の爽やかな匂いに包まれる部屋。その皮をスピリタスに漬け、一ヶ月弱色素と香りを抽出させる。透明だったスピリタスがだんだんと綺麗な黄色になっていく。

一ヶ月後、スピリタスと同量の水を用意し、そこにお砂糖250gを入れ砂糖水を作っておく。その砂糖水を柑橘を漬けたスピリタスに混ぜたら出来上がり! 一週間くらい寝かせたらより馴染みます。アルコール度数が強いので何年も常温保存できる。

果汁は、冷凍しておいたら香りも酸も落ちることなく楽しめるので、酢の物や、鍋のときのゆずポン代わりに使っている。

私は12月頭に漬けたので、完成しました! 柚香の独特の優しい香りと甘さ。イタリアのカプリ島で買ったレモンチェッロを思い出す本格的な美味しさだった。炭酸で割って飲むのもお薦めだ。紅白を見ながら楽しみたい。

●コロナ収束のために今は静かに家時間を楽しむこと

初詣は、年末に行くというのも今年のトレンドかもしれない。年末になるといつも都内はガランとするけれど今年は減らないのも新鮮だ。神様にお願いすることもあまりないので、初詣に行かなくてもいいかなあなんて思っている。切に願うのは、コロナウイルスの収束だ。それには、静かに家正月を満喫することが一番効果的だろう。いろんなことが簡略化されて寂しいようにも思うけれど、その分家族や自分の時間を楽しむのもこの冬ならではだ。5年後、2020年は大変な一年だったねと話していたい。来年はきっと穏やかな一年になりますように。

今年も一年間、読んでくださってありがとう。みなさま良いお年をね。来年もどうぞよろしくお願いします。

【高橋久美子さん】

1982年、愛媛県生まれ。作家・作詞家。近著に、詩画集

「今夜 凶暴だから わたし」

(ちいさいミシマ社)、絵本

『あしたが きらいな うさぎ』

(マイクロマガジン社)。主な著書にエッセイ集

「いっぴき」

(ちくま文庫)、絵本

「赤い金魚と赤いとうがらし」

(ミルブックス)など。翻訳絵本

「おかあさんはね」

(マイクロマガジン社)で、ようちえん絵本大賞受賞。原田知世、大原櫻子、ももいろクローバーZなどアーティストへの歌詞提供も多数。公式HP:

んふふのふ