新型コロナウイルスによる全国的な活動自粛がようやく終了となりましたが、すぐに日常を取り戻せるわけではありません。

「多くの人が『5月病』と同じ状態になることも十分考えられますので、自分自身のメンタルケアを心がける必要があります」と話すのは、うつ専門メンタルコーチの川本義巳さん。
アフターコロナで“病まない”ための方法を教わりました。

たくさんの人の足
アフターコロナの急激な変化に注意
すべての画像を見る(全1枚)

変化の大きいアフターコロナの生き方。「すぐに元どおり」にしなくていい

「アフターコロナの出社拒否うつ」や「学校に行くのが憂鬱な子ども」といった言葉が聞かれます。
コロナ感染防止のための活動自粛は予想外の長さとなりましたから、ようやく「STAY HOME」に慣れた頃合いで元に戻すのは、人によっては一苦労になりそうです。

●変化のないゴールデンウィークを経て

昔から「5月病」と呼ばれる現象がありました。これは5月になると調子を崩し、会社や学校を休みがちになるというものです。
医学的には「うつ病」や「適応障害」に症状が似ているので、病院に行くと「うつ病」とか「適応障害」という病名がついたりします。

これは私の持論ですが、「3月での生活の区切り」「4月からの新しい環境」で、いつも以上のストレスや緊張を体験したあと、ゴールデンウイークという長期の休暇で一気に緩みが生じた結果、バランスを崩してしまうから起こるのではないかと考えています。
加えて、気候変動も大きい時期ですから、尚更かも知れません。

今回の新型コロナウイルスによる自粛期間は、本来区切りがつけられるはずの3月と、新生活スタートの4月が未消化のままでした。そしてなにも行動の変化のないままゴールデンウイークを迎えています。
つまり私たちのなかでは、活動自粛のストレスとコロナウイルスによる不安に加えて、未消化になっている日常のイベントに対するモヤモヤや、喪失感もあるという状態なのです。

ここから一気に日常といっても、きり替えが難しいもの。とくに通勤時の満員電車のストレスから解放された人が、またあれを味わうのは抵抗もあるでしょう。
また新型コロナウイルスに関しても完全に消滅したわけではありません。第2波、第3波の心配を抱えたままの再スタートです。

多くの人が「5月病」と同じ状態になることも充分考えられますので、そうならないためにも自分自身のメンタルケアを心がける必要があります。
自分でできるので、ぜひ心に留めてください。

●自分でできるメンタルケア

・まずはソフトランディング

まずは「ソフトランディングを目指す」ということです。いきなりトップギアということではなく、少しずつスピード感を上げていく感覚がベターです。
環境によっては「最初からトップで」と望まれるかもしれませんが、自分のなかで「20%ダウン」くらいの心持ちでとりかかるのがいいでしょう。

プライベートでも休日に一気に活動するというよりは、余裕をもつことを優先に。「楽しかったけど、すごく疲れた」とならない程度が望ましいですね。

・今できることに集中する

次に「今できること・できていること」に集中しましょう。不安の先取りをしたり、やらなかった後悔に意識がいくと、どうしてもストレスが高くなります。しばらくは「今日のタスク」に集中し、できたことを評価してください。
もしできなかったとしても責めるのではなく、「明日はどんな工夫をしようか?」と考えてみるとよいでしょう。

・未完了のことを完了させる

最後に「未完了になっていることを完了させる」というのもオススメです。イベント等中止になったものも多いと思います。それに対して意識がとらわれると、やはりメンタル的に不調を生みやすいのです。
できなかったイベントは、中止したものも延期したものも、一度自分の中で区切りをつけてみましょう。とはいっても、できなかったものをやり直すのは難しい…そこでオススメするのは「代替案」です。

たとえば友人と旅行に行く予定が中止になったのであれば、「食事会」を開いて「これで旅行のことは完結。今度は新しいプランで」とする。
卒業や入学、入社などの場合は、今できる範囲で一度区切りを。たとえば写真を撮るとか、仲間内で式典と称してパーティを開くなど…。

もちろん、これらは本来やりたかったこととは違います。でも、未完了のままにするよりは、形を変えて行ったん完了させる方がメンタル的にはいい効果が生まれます。もちろん、後日元の形に近い状態で体験できるのならぜひそうしてください。
その前に、一度自分のなかで、リセットの意味も込めて完了させることをオススメします。

今回のコロナウイルスは私たちに「自分の身を守る」ことと同時に「周りに被害を及ぼさない」という視点も体験させてくれました。
メンタルも同じで、まずは自分を守る、そして一時的なストレスや負の感情で、周りを傷つけないということも心がけたいですね。