今や気分転換にちょっと外出するにも、着用が欠かせないマスク。子どもにもしっかりつけてもらいたいですが、マスクをつけようとすると怒り出す、つけてもすぐに外してしまう…そんなお悩みをもつ親御さんも。
「ほかの子はちゃんとマスクをつけているのに、どうしてうちの子はつけてくれないの?」と、子どものマスク着用問題に悩んではいませんか?
そこで、子どもの心の発達に詳しい児童精神科医の田中康雄先生に、嫌がる子どもにマスクをつけてもらうコツを教えてもらいました。
「マスクをしなさい!」の前に、嫌がる子どもの心を知って
「子どものなかには、飛び抜けて感覚の鋭い子がいます。そういった子はマスクで口を覆われることへの不安、マスク素材の感触の違和感、息苦しさ、熱感、あるいは耳に当たるゴムの締めつけ感をとても不快に感じる場合があるかもしれません。また、普段はやさしいお父さん、お母さんがマスクをつけている姿を見て、漠然とした恐怖感を抱く子もいます」(田中先生)
そんな子どもに対して、「マスクをつけなさい! ほかの子はちゃんとつけているじゃない!」と叱るのは御法度。逆効果になってしまうこともあるそう。
マスクをつけてもらう3つのコツを田中先生に教えてもらいました。
【マスクをつけてもらうコツ1】マスクの大切さを伝えて、親がお手本を
マスクをつけることの大切さを、怖がらせずにしっかり伝えることが重要です。小さな子に対してなら、マスクがばい菌から体を守ってくれることをイラストにしてあげると、心強く思ってくれるかもしれません。
また、親がマスクをつけるお手本を見せ、マスクをつけてOKマークを示したり、笑顔でほほえみかけてあげるなどして安心させてあげてください。
【マスクをつけてもらうコツ2】命令形ではなく疑問形を使って上手に誘って
子どもにマスクをつけてもらいたいなら「マスクをつけなさい」と命令するよりも、「マスクつけてみよっか?」「ばい菌から体を守るにはどうするんだっけ?」というように疑問形で問いかけることで、子どもにしてほしい行動へ導きやすくなります。
命令形を使わないことと同時に、「ほかの子はちゃんとできているのに…」という比べるような表現もNG。子どもの人格を否定してしまい、やる気どころか自信喪失につながることがあるので要注意です。
【マスクをつけてもらうコツ3】肌にやさしい素材やキャラクターつきのマスクを活用
肌感覚が敏感な子にはコットン素材など、肌にやさしい素材のマスクを選んであげるのもひとつの手。耳にかかるゴムが痛い子もいるので、ゴムのかかり具合をチェックしてあげたり、耳が痛くなりにくいマスクも市販されているので、その子に合うものを探してあげるのもいいでしょう。
また、子どもが好きなキャラクターつきのものやワッペンで布マスクにワンポイントをつけてあげると、手のひらを返したように喜んで子どもがマスクをつけてくれることも少なくありません。子どもの心を引きつける、魅力的なマスクになるように工夫してあげてください。
本来、大人だってマスクをつけるのは嫌なもの。もし、子どもがちゃんとマスクをつけられたなら、それがたとえ短時間であってもほめてあげたいものですね。
マスクを嫌がるからといって、すぐに子どもの発達に問題があるというわけではありません。
「マスクをはじめ、肌に触れるものに過剰に反応する」「何度伝えても伝わらない」など、子どもとのかかわりのなかで不安を感じる親御さんに役立つ田中先生の新刊『
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