一部の乗員乗客が新型コロナウイルスに感染したため、横浜港に停泊中で、検疫が続いている大型クルーズ客船「ダイヤモンド・プリンセス号」。
厚労省はウイルスの潜伏期間が過ぎる14日間程度、船内に待機してもらう方針です。

ESSEonlineは、乗船中の女性客・Aさん(50歳)を独自取材。船内の様子などを詳しく聞きました。

プリンセス・クルーズで出された食事
停泊中のプリンセス・クルーズで出された食事(乗客提供)
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ダイヤモンド・プリンセス号の個室で待機中の乗客にインタビュー

ダイヤモンド・プリンセス号は日本発着の大型客船。横浜市港湾局によると、乗客は約2500人、乗組員は約1000人となっています。

ダイヤモンド・プリンセス
ダイヤモンド・プリンセス

Aさんは、今回、母親、母の姉(伯母)、母の同級生の4人で乗船。海側の窓あり、バルコニーのない部屋で、Aさんと母親、伯母と母の同級生の2部屋に分かれて宿泊しています。
それぞれの部屋は別フロアに位置しているため、室内待機中の今は行き来ができず、船室の内線電話でやりとりしていると言います。

「廊下には見張りがいて、部屋から出ることはできません。少し前に、窓なし内側の部屋の人は、少しずつ外のデッキに出られると船内アナウンスがありましたが、私のところはまだです」

――部屋の中ではどのように過ごされていますか?

船室で見られるプログラム
船室で見られるプログラム(乗客提供)

「テレビを観ていますが、地上波は映りません。映画も新しいものが毎日更新されていますが、日本語字幕がないものが多いです。映画ではないですが、太極拳のプログラムもあります」

数独
部屋には数独が配られた(乗客提供)

「あとは、洗濯物を部屋干しして乾燥予防をしたり、クルーがもってきてくれた数独をやってみたりしています。クルーの方たちは本当に大変だと思いますが、がんばって対応してくれています」

――インターネットは問題なくつながっていますか?
「通常、Wi-fiは有料ですが、下船予定前日の夜から無料になりました」

――食事はどのようになさっているのでしょうか。

食事の一例
届けられた食事の一例(乗客提供)

「時間はバラバラですが、1日3回、クルーが部屋に届けてくれます」

届けられた食事
届けられた食事の一例(乗客提供)

「食料が届いたようで、2月6日からは、昼と夜は、肉、野菜、魚が選べるようになりました。水は2リットルのペットボトルが2本届いてます。ヨーグルトが日本製になったのがうれしかったです」

――薬などの物資に関してはいかがですか?

「母は、普段から血圧の薬を飲んでいます。伯母はもっと多くの薬が必要です。薬の依頼書を出しましたが、まだ届いていません。薬はすでに2日ほど飲んでいませんが、今のところ様子に変化はないです。きちんと血圧を測れているわけではないので、わかりませんが…」

――検疫はどのように行われているのでしょうか。

「私は、検疫は体温測定と問診だけでした。症状が出ている方と、香港で降りた最初の陽性患者と接触があったり、可能性が高い方のみ、キットを使って検査されました。もし、私が今から体調が悪いと申し出れば、詳しい検査をすることになると思います。

なにもない人まで詳しく調べるには、時間がかかりすぎるので、隔離して、体調観察をするのが最善策なんだろうと思います」

――こうした状況になって、さぞかし驚かれていると思います。

「じつは、最初は母たちだけで行く予定でしたが、添乗員がいないツアーだったし、直前申し込みだったために3人部屋が取れなかったんです。高齢者だけでは外国船の長旅は不安ということで、私がついて来ました。結果的には、一緒に来てよかったです」

食事が運ばれてくる様子
食事が運ばれてくる様子(乗客提供)

――船内の雰囲気はいかがでしょうか。

「静かですよ。お隣は外国人で、食事を受け取るとき、クルーと話をしているのが聞こえることがありますが、すごく元気な感じでした。

この船はリピーターがたくさんいらしていて、本当にダイヤモンドプリンセス号が大好きな方が多いですね。旅行中、日本人の方とお話しする機会がありましたが、皆さんほぼリピーターでした。だからこんな状況でも、不満を言う人は少ないんじゃないかと思います。むしろ、クルーたちが一生懸命やってくれていることに、感謝している方が多い気がしますね。

船側からの手紙
部屋に届けられた船側からの手紙(乗客提供)

重要なことは船内アナウンスがありますし、各部屋にも、現在の状況を伝える詳しい手紙も届きました。船側の心づかいが伝わってきて感激しました。私たちもがんばります」