家のホコリ掃除をすると、くしゃみが止まらなくなる…。そんな人は多いのではないでしょうか。じつは間違った方法で掃除をしてしまうと、病原となり得るホコリがかえって飛び散ってしまい、体内に吸い込んでしまうリスクが高まるのです。
『健康になりたければ家の掃除を変えなさい』の著者であり、亀田総合病院などで病院清掃に30年携わってきた松本忠男さんによると、家の中のホコリは、放置されることで菌やウイルスを含む「病原ホコリ」に変化すると言います。
カーテンレールや棚の上などの「高所のホコリ」に注意!
「空中から床などに落下した直後のホコリにも菌やウイルスは混在していますが、とくに注意しなければいけないのが、カーテンレールや棚の上などの『高所のホコリ』。手が届きにくい場所で放置されたホコリのなかでは、汚れを栄養源として、黄色ブドウ球菌などの常在菌やカビの胞子がどんどん増え、『病原ホコリ』となるのです」
花王の調査によると、家の中のホコリ1g(500円玉くらいの大きさ)には、カーテンレールや棚の上などの高いところで、7~10万個の細菌、約1万個のカビが含まれているというデータも。
さらに、ピークが過ぎ去ったスギ花粉も、じつは高所のホコリに潜んでいる可能性が!
「花粉の粒子は30ミクロンと非常に小さく、床に落ちずに空中にふわふわ浮遊します。そして、静電気に吸い寄せられて壁や棚の上、カーテンレールなどの高所に付着するのです」
病原になるホコリを除去する掃除方法
そこで今回、松本さんに「病原ホコリ」を吸い込まず、確実に除去する「病気にならない掃除術」について教えていただきました。
松本さんが教える、「病気にならない掃除術」のポイントは次の3つです。
ポイント1:正しい道具を選ぶ
ポイント2:濡らさない
ポイント3:ゆっくり動かす
●ポイント1:正しい道具を選ぶ
「高所のホコリを取るというと、まず思い浮かべるのが静電気でホコリをふき取るハンディモップではないでしょうか。しかし、静電気で引き寄せたホコリは、一瞬モップの繊維に吸着するものの、少し動かすだけですぐに飛散してしまい、病原ホコリを吸い込んだり拡散する原因となります。ハタキでパタパタと掃除するのも同様です」
では、なにを使って高所の病原ホコリを取り除けばいいのでしょうか。
「窓の水きりなどに使うスクイージーのゴム部分に、5mm間隔で切り込みを入れたものがいちばんおすすめです。ゴム部分をウェットシートなどで拭いてわずかに湿らせ、カーテンレールや扉の上を一方向にスーッと引いてみてください。切り込み部分に驚くほどホコリが集まるはずです」
また、テレビなどの電化製品のホコリには、マイクロファイバークロスがいいそう。
「マイクロファイバーは繊維が細かいため、小さなホコリも逃さずキャッチしてくれます」
スクイージーもマイクロファイバークロスも、100円ショップで手に入ります。
●ポイント2:濡らさない
「カーテンレールや扉の上などを掃除するとき、濡れたぞうきんやウェットシートを使うという人が多いのではないでしょうか。じつは、これもよくある間違いです」という松本さん。
濡れた状態で拭き掃除をしてしまうと、汚れや雑菌を含んだホコリを塗り広げてしまうそう。
「上で紹介したスクイージーも、わずかに湿気をもたせる程度で十分。マイクロファイバークロスも、必ず乾いた状態で拭くのが、確実にホコリを取る方法です」
●ポイント3:ゆっくり動かす
じつは、一生懸命に掃除をする人ほど、病原ホコリを吸い込むリスクが高いのだとか。
「力を入れてゴシゴシと動かしたり、勢いよく拭き上げる人ほど、その動きによって起きる気流で、病原ホコリを舞い上げてしまっています。病原ホコリを舞い上げず、確実に除去するには、『道具を汚れの面に密着させて』『ゆっくりと手前に』動かすのが絶対条件です」
清潔を保つために掃除をするのに、その掃除で病気になってしまっては元も子もありません。
スクイージーやマイクロファイバークロスを使って、濡らさずに、汚れの面に密着させ、ゆっくりと手前に動かす。
以上の3つのポイントを押さえ、確実に病原ホコリを取り除き、菌・ウイルス・カビの胞子や花粉を吸い込むことを防ぎましょう。