阿部寛さん演じる、偏屈で独善的、そして皮肉屋の建築家・桑野信介がパワーアップして帰ってきたドラマ『まだ結婚できない男』。
前作から13年たち、53歳となった桑野はまだ独身だったのか…と納得した人も多いはず。ここでは、阿部さんに13年ぶりに桑野を演じるにあたっての心境をお聞きしました。

また桑野信介を演じることができるのはうれしいけど、やっぱり、まだ結婚していなかった(笑)

阿部寛さん
『まだ結婚できない男』阿部寛さんインタビュー
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同じマンションでひとり暮らしをし、引き続き独身生活を謳歌中。偏屈さにみがきがかかった桑野について、阿部さん自身の予感も的中したようです。

「やっぱり、まだ結婚していなかったか、と。13年たって、また桑野を演じることができるのはすごくうれしいですけど、続編のお話をいただいたとき、彼が結婚している画が浮かんでこなかったんですよね。今も相変わらず変わり者で、たぶん皆さんもそこを期待されていると思うので、そういうところはオトナにならないように演じないといけないなと思っています」

●新たに登場する女性たちとのかけ合いが桑野の新たな一面を引き出す

今作で桑野が出会う女性は、桑野の担当弁護士・吉山まどか(吉田羊)、桑野の隣の部屋に引っ越してきた売れない女優・戸波早紀(深川麻衣)、バツイチのカフェの店長・岡野有希江(稲森いずみ)たち。対応する女性によって、あからさまに違う態度を取る桑野とのかけ合いも見どころです。

「それぞれお芝居が上手な方々なので、『なるほど、そういう接し方でくるか』という駆け引きがあっておもしろいです。桑野は、相手によって対応を変える男なので、新しい一面を引き出してもらっています。桑野が変わり者と思われる半分の力は、周りのキャストの方たちが変わり者として扱ってくださるから。今回も、女性たちを含め、皆さんがしっかり変わり者扱いしてくださるので、助かっています(笑)」

●脚本への絶対的な信頼感。役者として想像力をかき立てられる

脚本は、前作に引き続き尾崎将也さんが担当。続編をやるなら「脚本は尾崎さんで」と、阿部さんから最初にお願いしたのだとか。
「尾崎さんの脚本は、きっかけがしっかりしているので、ほかで遊べるヒントがたくさんあって、役者として想像力をかき立てられます。そして、波のつくり方がとてもうまい。構成や突然言い出すセリフがガツンと効いてくるので、物語のなかで、大きな波が効果的に決まるんです。その波と遊びのつくり方が独特で、それがこの作品にすごく合っているのだろうと思います」

そう語る阿部さんに、このドラマの魅力をあらためて聞いてみました。
「男性も女性も、クスッと笑えるところがあって、ちょっとホッとする。そこが楽しんでいただけるポイントだと思います。そして、桑野は悪い人間ではないということ。毒舌で相手の心をかき乱すけど、じつはすごく人助けが好きだったりするので、毒づきながらも人と交流していくなかで、気がつくと、結局みんなを幸せにしている。でも、本人だけが気がついていない(笑)。そういうところも魅力だと思います」

桑野は今度こそ結婚できるのでしょうか。最後まで目が離せません。

『まだ結婚できない男』 フジ=カンテレ系 毎週火曜夜9時 全国ネット放送中

【阿部寛さん】

1964年、神奈川県生まれ。’87年、映画『はいからさんが通る』で俳優デビュー。映画『テルマエ・ロマエ』で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞などを受賞。出演作は、ドラマ『TRICK』『新参者』『下町ロケット』、映画『カラスの親指』『のみとり侍』など多数。2020年2月、舞台『ヘンリー八世』に出演予定。映画『HOKUSAI』が初夏に公開予定