「Hygge(ヒュッゲ)」という言葉に代表される、北欧流のホッとくつろぐ時間が、欧米や日本でブームです。
現地ではどのように楽しまれているのか、フィンランド人の男性と国際結婚をし、北欧事情に詳しいルミコ・ハーモニーさんが語ってくれました。
家族や隣人たちとコーヒーを飲んでひと息…。北欧独特のティータイム文化
すべての画像を見る(全4枚)北欧諸国は幸せ指数の高い国のランキング上位に入ることも多いですが、その要素のひとつとしてあげられるのが、ホッとくつろぐ時間。
デンマークでは「ヒュッゲ」といい、そのくつろいだ時間を楽しむこと自体を指します。
さらにスウェーデンでは、コーヒーやお茶を飲んでくつろぐ時間を「fika(フィーカ)」といいます。
紅茶よりはコーヒーが飲まれることが多く、北欧のコーヒー消費量は世界でも有数。ICO(国際コーヒー機関)が2013年度に発表したデータでも、日本の1人あたりのコーヒー消費量が3.36kg、アメリカが4.20kgであったのに対して、フィンランド12kg、ノルウェー8.70kg、デンマーク8.60kg、スウェーデン7.31kgと、北欧の国々は圧倒的に消費量が多いのです。
●寝る前にティータイムをすることが幸せな理由
私のフィンランド人の夫も、夕食後や入浴後にティータイムをしたがります。
ゆっくりティータイムをすると就寝時間も遅れるし、子どものおねしょリスクも高まるので、「今からティータイム!?」と最初は衝撃でした。
フィンランドで、このティータイムは、シーンによってさまざまな言い方をします。雪の表現が多数あるように、ティータイムもシチュエーションによって表現が違うのです。
夜のティータイムは、「Iltatee(イルタテエ/夜のお茶)」と言い、家族で一緒にひと息つく時間を味わうことこそ、人生の楽しみのようです。
北欧ではカフェインレスのカモミールティーも非常に一般的。温かいお茶を少し飲むと体があたたまり、入眠効果もあるそうです。おねしょも、寝る前にトイレに行けば、そんなに問題ありませんでした。
今では、テレビもつけず、静かにゆったりと家族でお茶の時間を共有することは、プライスレスだなとしみじみ思えるようになりました。
●子どもと大人が対等なのが北欧風
そんな北欧のティータイム文化は、映画にも垣間見ることができます。
日本ではもうすぐ公開となるフィンランド映画『オンネリとアンネリのおうち』は、1960年代に発表された児童文学を元にした作品。
物語は、ふたりの少女オンネリとアンネリが、「正直者にあげます」と書いたお金を拾い、警察に届け出るところから始まります。
警察に「正直に届けた君たちのものだよ」と言われ、そのお金で彼女たちは、憧れのふたりだけの家を買うことに。
9人兄弟の大家族のオンネリと、両親が離婚したアンネリは、それぞれ家にいなくても気づかれないことが多く、自分の居場所を求めていたところへ、チャンスがやってくるわけです。
家が魔法でもらえるというのではなく、ちゃんとお金で買うところに、現実主義の北欧っぽさが出ています。
注目なのが、オンネリとアンリが、隣に住む大人とティータイムをするシーン。
フィンランドでは、大人も子どもも関係なく、お互いしっかりと尊重し合い、年齢によって態度を変えることなく接します。
大人と子どもがそれぞれ家に招待し合う様は、日本の作品ではなかなか登場しない描写です。家の中でも、庭でも、お茶をしてくつろぐのです。
仲のいい人たちと、コーヒーやおやつを囲んで、おしゃべりしてくつろぐ…。そんな北欧流のティータイム文化、一度取り入れてみてはいかがでしょうか。
『オンネリとアンネリのおうち』6月9日(土)、YEBISU GARDEN CINEMAほかで全国ロードショー。
配給:アット エンタテインメント
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