家族と家事を分担する「家事シェア」。今、非常に注目されているキーワードで、家電メーカーや住宅メーカーも、このコンセプトのもと、新商品を開発しています。とはいえやはり、家事や育児のほとんどは妻に任せきりという声もよく聞かれる話です。
ESSE編集部では、今回、読者300人にアンケートを実施。各家庭での家事シェアの現状を調査しました。

夫婦
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約8割の家事を妻が負担! 家事シェアのリアル

ESSE読者からのアンケート結果を分析してわかったのは、巷でうたわれている理想と、リアルの大きなギャップ。厳しい現実が見えてきました。

●夫も家事に参加する家庭は6割

夫と家事を分担していますか

夫と分担をしているという家庭は6割。世間でもよく言われているように、今回のアンケート結果でも、共働きの家庭の方が、夫も協力的な傾向にありました。
一方、それ以外の家庭では妻がほぼすべての家事をこなしているという結果に。「共働きなのに、夫はやる気ゼロ」「夫が忙しすぎて頼れない」など、家事シェアを諦めているという声も。

ちなみに総務省の統計(「平成28年社会生活基本調査」)によれば、1週間当たりの「家事関連時間」を男女別に2011年と2016年で比べた場合、男性は44分で2分の増加、女性は3時間28分で7分の減少となっています。
同様の基準で比較すると、女性の家事関連時間は、2011年に比べて2016年は8分の減少。ロボット掃除機や家事便利グッズなどが世にあふれている割に、この数字は意外に小さいようにも思えます。

●家事の負担は約8割が妻に集中!

夫と妻の家事分担の比率

6割の夫が家事に協力している一方で、家事の負担そのものは、妻が8割近くを担っているという現実が明らかに! 「専業主婦なので仕方がない」「いやいややっているのがわかるから」と、諦め顔の一方で、「夫のやり方が気に入らないから」と、手出ししてほしくないという人も。

非協力的な夫は問題ですが、妻が夫に完ぺきを求めすぎないほうが、家事シェアはうまくいくことも…。協力してもらえないストレスと、協力してもらったことによるストレス。少ないストレスでできることを選択した方が、合理的な生活を送れるということなのかもしれません。

●3割の夫は家事や育児をやりたがらない

夫は家事や育児に積極的だと思いますか

「やれることを見つけて進んでやってくれる」という積極性がある夫がいる一方、積極的ではない夫が約3割。忙しすぎて時間がないなどの「どちらともいえない」と合わせると、多くの夫が、家事や育児に対して消極的なのがうかがえます。これでは妻のストレスもたまるばかり!?

総務省の統計(「平成28年社会生活基本調査」)によると、6歳未満の子どもを持つ世帯の夫の育児時間(1週間当たり)は、1996年と2016年で比較した場合、18分から49分へと31分増加。一方、妻の方も、1時間2分増加しています。育児時間は、共働きか否かにかかわらず、夫妻共に増加傾向となっているようです。

家事や育児は、ひとりでこなせなくて「当たり前」

「フルタイムで働いているのに、家事も育児も夫を頼れない。高熱を出したときも点滴を打って家事と仕事をこなした」「子どもの登校と同時にパートに行き、帰宅時間もほぼ一緒。座る暇もないが、なにかお願いしない限り夫はソファでスマホ」…。
ESSE読者へのアンケートでは、家庭内での家事の分担がまだまだ実現できていないという現実が浮かび上がってきました。

『ワンオペ育児 わかってほしい休めない日常』

の著者で、大学で社会学を教える藤田結子教授は、「そもそも、家事や育児が妻ひとりの仕事と考えること自体が間違いです」と話します。

「かつては、農家や商家など住まいと仕事場が近い自営業の家庭がほとんど。妻も夫も働き、家事や育児は、同居している祖父母や地域の人たちに助けられながら行うものでした。夫が外で働き、妻がひとりで家のことをこなす『専業主婦』が一般的になったのは、高度経済成長期以降のことなんです」

男性が外で働き、女性が家事や育児をするという考え方は、じつはごく近年のもの。完璧にできないことを悩む人もいますが、藤田さんはこれも「間違い」と指摘します。

「本来、ひとりで背負うものではないので、できなくて当然。家事、育児、仕事…と、これまで以上に多くのことが女性に求められている今、家庭を維持するためにも、夫との家事シェアは不可欠です」

ESSE3月号

ではアンケートや識者の意見をもとに、家事シェアを賢く取り入れる方法を解説しています。ひとりで抱え込まずに、さまざまな意見を参考にしてみませんか。