以前は常識とされていた歯磨きの仕方が、じつは誤りだった!? 研究が進むことによって、新たに分かったこともあるんです。毎日していることではありますが、ここであらためておさらいをしてみましょう。健康で美しい歯を保つための歯磨きの新常識と押さえておきたいポイントを専門家に伺ってみました。

歯磨きあとにしっかりと口をゆすぐのはよくない!?

意外と知らない歯磨きの新常識
意外と知らない歯磨きの新常識
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まずはタイミングのお話から。

「じつは食後すぐに歯を磨くのは、誤った方法。食後は口内が酸性になっているため、歯のエナメル質がもろくなりやすく、磨くと歯の表面が削れる恐れがあるからです。食後30分くらいたち、唾液成分の働きで口内が中性になった頃に磨くのが正解です」

そう教えてくれたのは、表参道矯正歯科院長の川崎健一さん。1回にかける時間は10~15分程度が目安ですが、「大切なのは時間ではありません。あくまで汚れがしっかり落ちているかどうかです」。

また、朝食後だけでなく、朝食前の歯磨きが大切だと説きます。

「唾液は虫歯菌がつくる酸を中和し、歯を守る役割があります。でも、寝ている間は唾液の分泌量が少なくなるため、細菌が増えている状態。朝起きたら食事前に歯を磨き、口内の細菌を洗い流しましょう。また、同様の理由から、どうしても一日に1回しか歯磨きができないという人は、寝る前にしっかりと行うことをおすすめします」

歯や歯の根元を傷めるので、歯磨きは強くやりすぎないこと。口臭が気になるからと舌ブラシをやりすぎるのも禁物。舌乳頭(舌の表面に無数にある小さな突起)が破壊されると、舌が乾燥状態になります。結果、舌が乾燥すると口臭が悪化しやすくなるのです。

意外なことに、歯磨きあとのゆすぎ方にも落とし穴が! なんと口を何度も強く「ブクブク」するのはNGなのだとか。

「歯磨き粉のなかには、虫歯の進行を防ぐフッ素が配合されています。歯磨きのあとに何度も口をゆすぐとフッ素の効果が出る前に流れ出してしまうので、うがいはしすぎないほうがいいのです。じつは、おちょこ一杯程度の水で、1回ゆすぐだけで十分」

とはいっても、歯磨きをした際に、歯から落ちた汚れや口の中の細菌が気になる方もいるでしょう。その場合の裏ワザをご紹介しましょう。

「それは、二度磨きです。最初に歯磨き粉をつけて磨いて歯の汚れを落とします。その際、うがいを好きなだけして気になる汚れや細菌を洗い流してください。そしてもう一度、歯磨き粉をつけてまんべんなく磨きます。そのあとのうがいは少量の水で1回だけにするのです。こうすればフッ素の働きも十分期待できますよ」