言葉や態度で相手の自尊心を奪うモラルハラスメント、なかでも配偶者からの「モラハラ」が話題になっています。現在、娘と2人暮らしのヨシダテルミーさんも、離婚した元夫からモラハラ被害を受けていました。
結婚当時の生活や離婚に至る顛末など、深刻なエピソードを、SNSで軽妙に語り、女性たちの支持を集めるテルミーさんに、モラハラ夫との当時の生活について語っていただきました。
夫と私の上下関係を明確にした「上座事件」
つき合いたての頃は、対等に話せていた気がするんだけどなあ…。
キレたらどなりつけられるのが怖かったからか、昔のヤンキーのように上下にアゴを動かして威嚇しながらにらみつけてくるのが怖かったからか、気がついたら元夫と私の間には完璧な上下関係ができあがっていました。そう思っていたのは私だけではなく、彼のなかでも「嫁の身分は俺より下」だと認識されていたと確信したできごとがありました。
それは、某チェーンのハンバーグレストランで食事をした日のこと、久しぶりの外食にウキウキしながら席に座った私に、彼はこう言ったのです。
「上座に座るつもりか?」
一度トイレに立ったが最後、二度と戻ってこれないぐらいの、ぐにゃぐにゃに入り組んだ店内で、「どっちが上座だよ!」と心のなかでつっこんだのを今でも覚えています。上座に端を発して、その後もどなり続ける夫を前にして、気まずいやら、恥ずかしいやら…。でも、そんな気持ちで食べたハンバーグセットは、やっぱりきちんとおいしかったので、自分の食い意地には感謝しました。
モラハラ夫のひと言でどんどん自信が奪われる
元夫は、なにかにつけて私に「おまえは常識がないから」「そんな当たり前のことも知らないのか」と言っていました。自分の足元より、とにかく下に下に、私を頭まで地面に埋めてスコップで土を固めて、その上でジャンプしちゃうんじゃないかってぐらい、私の上に立とうとしていました。
そんな夫にとっての常識とは、「日本語吹き替え版『シックス・センス』の主役の子と、クレヨンしんちゃんが同じ声優」とか、ものすごくしょうもないこと。その程度のことで、「は?そんなことも知らねーの?常識だろ!?」と、いつもののしられていました。
今となっては、書いていてバカバカしくなってしまうのですが、当時の私にとって、「おまえは常識がない」のひと言は、毎日少しずつ澱のように溜まっていって、「私は常識がなくて、正しいのは夫」という気持ちで満たしていくのに充分すぎたのです。
【ヨシダテルミーさん】地方在住の主婦。19歳で初めてつき合った男性と28歳で結婚し、33歳で離婚。現在はワーキングマザーとして、6歳の娘と2人暮らし。インスタグラム
(@teruminoyoshida)で発信する、モラハラ夫との生活をつづった手書き投稿が注目を集める