家庭内別居という問題を抱える夫婦が増えているといわれています。実際、編集部にも、その苦しみの声が届くように…。その中からひとつ、「たいしたことない」と思えることが日々積み重なりある日を境に大きな変化を迎えることとなった、ある主婦の心の内をご紹介します。記事の最後には専門家によるアドバイスも。
情はあっても愛はなし。心を入れ替えた夫を受けいれることができず、体裁だけ取り繕う日々
語ってくれた主婦:岡村静香さん(仮名) 千葉県・33歳
家族構成:夫33歳、長女5歳、二女3歳
結婚年数:7年
家庭内別居期間:約3か月
家庭内別居になるパターンって、離婚に踏みきるほどのはっきりした原因はないけれども、なんとなくうまくいっていないとか、日々の積み重ねのなかでどうにも我慢ができなくなったということが多いのではないでしょうか。
うちの場合がまさにそれ。結婚当初から夫に対して思いやりのない人だなあ、と思わされることばかりでした。それでも夫婦2人の頃は我慢もできましたが、子どもが生まれ、仕事と家事と育児に追われるようになると、家のことにも私にも無関心で、労いの言葉ひとつかけてくれない夫に、次第にイライラがつのるようになっていったのです。
当然家の中はギスギスして夫婦ゲンカが増え、私は救いを求めるかのように会社の友人と出歩くことが増えていく。もちろん家事・育児はちゃんとやったうえでのことです。でも、夫はそれが気に入らなかったみたい。ある日、口ゲンカのあと、「おまえとは無理だから出て行く」というメール一本で、夫が親せきの家に行ってしまったのです。
なにそれ?と、これにはあきれかえりました。夫はケンカで頭に血が上ると、すぐに離婚だなんだと騒いで、親だの兄弟などを呼び集める人。ああ、私、そういうところがイヤだったんだよなあ、とあらためて気づかされました。夫は2週間で自発的に帰ってきたのですが、私の方がそんな夫を受け入れられなくなっていました。
●関係修復を求める夫がうっとうしい
それが家庭内別居の始まりでした。寝室も食事も別々。夫のお弁当だけは毎日つくりましたが、それ以外の夫の世話はなにもせず、子どものケアにだけ気を配ることに。夫は親せき宅で過ごした2週間で、あらためて夫婦関係について考えたようで、自分の至らなさに気づき、「今はすごく反省している」と神妙な顔で言ってきました。そして言葉どおりに、気持ちを入れ替え、態度もあらためてくれたのですが、すっかり冷めてしまっている私にはこれが、うっとうしくてたまりません。
愛情が冷めてしまったのは確かでした。でも、情の部分がまだ残っているのですね。それで、「こんなにがんばって、修復をしたがっている夫の気持ちをわかってあげなきゃ」と思う。でも、顔も見たくない私もいるわけで…。そのうちに、子どもたちから「お父さんは、なんで一緒に寝ないの?」とか、「どうしてみんなでご飯を食べないの?」など疑問が出てくるようになってしまいました。
それで、教育上の意味合いもあって、夫の食事は家族と一緒、寝室も一緒にということになりました。この状態、一応の別居解消になるのでしょうか。でも、食事の時間をともに過ごすようになっても、私の気持ちは別居状態のまま。
私さえこの人を受け入れれば、みんなハッピーになれることはわかっているのです。でも頭ではわかっていても、感情がじゃまをします。この精神的な別居状態はまだまだ続きそうです。
心が離れかけた夫婦が関係を修復する道はある?
修復の道はある、とアドバイスするのは高草木陽光さん。夫婦問題のカウンセラーとして、これまで6000件以上の夫婦の悩みやトラブルについてアドバイスをしてきました。
「とにかく歩み寄るための努力を欠かさないこと。できることはなんでもしましょう。夫の変化を少しでも感じることができれば、それが修復へのきっかけになります。また、気持ちの整理やその後の判断のために、努力をする期間を2~3か月と先に決めておくのも手です」
岡村さんのケースは夫が歩み寄りの姿勢を見せていること、また、家庭内別居期間もまだ短いことから、回復の道は残されているのかもしれません。
「家庭内別居は、修復が十分可能な夫婦問題です。だからこそひとりで悩まず、信頼できる人を見つけて相談することも大切です」