今より少しでも貯蓄を増やしたい!そのために、年一回行っていた家族旅行をやめてみたり、趣味にかけるお金を減らしてみたり、季節ごとに購入していた夫や自分の洋服を買い替えるのをやめてみたり…。いかにして支出を減らすかと、試行錯誤している人は多いのではないでしょうか?

 でも、「支出をとことん減らせば、お金は自然と貯まる」という考えは、必ずしも正しくはないようです。

<貯蓄のプロ>と<ディグラム診断のプロ>が教える「夫婦のお金」の増やし方

』を出版した家計再生コンサルタントの横山光昭さんと、1400万人の行動と性格分析をおこなってきたディグラム・ラボ所長の木原誠太郎さんに「賢いお金の貯め方・使い方」について伺いました。

横山光昭さんと、木原誠太郎さん
横山光昭さんと、木原誠太郎さん
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将来の収入アップや人生経験のために、たまには投資するお金も大切

 横山さんいわく、「多くの人は『お金は使わなければだんだんと貯まっていくもの』と考えがちですが、実際はなかなかうまくいっていません。大切なのは『どうやって日頃からお金を使っていくか』ということなんです」。では、どんなお金の使い方をすれば、上手にお金を貯めることができるのでしょうか?

「家計を見直して、余分な支出を切り捨てるのは非常に大切なことです。でも、一方で、節約を考えるばかりに、切りつめすぎてしまうのは、少しやりすぎかもしれません。私がよく相談にいらっしゃったご夫婦に提案するのは、支出を『消費』『浪費』『投資』の3つに分けるというものです。『消費』は家賃や食費など生活に必要な支出。『浪費』は嗜好品やぜいたくのこと。そして、『投資』は貯金や自分の将来に向けたスキルアップ、自分のモチベーションアップのための支出などを意味します。あらためて精査してみると、ムダに思えていた支出がじつは『投資』になっていることもありえるんです」

 たとえば、年に1回行っていた家族旅行にしても、一見ムダづかいに見えるかもしれませんが、「来年も家族旅行に行くためにがんばるぞ!」と楽しく仕事をするためのモチベーションアップにつながるのであれば、それは単なる「浪費」ではなくて、「投資」と考えても問題はないのだそうです。

「ムダだからという理由で、やみくもに支出を減らしてしまうことは、自分の可能性を狭めてしまうことにつながります。また、人によっては、節約をがんばりすぎて、途中で限界値を超えてしまい、急に衝動買いに走ってしまうケースもあります。大切なのは、バランスです。短期的に見れば『浪費』に見えるものも、長期的に見れば『投資』につながることも珍しくありません。だからこそ、節約を意識した生活を送っていたとしても、『自分にとってこの支出は必要だな』『これがないと、ガマンできなくなってしまう』と思うものには、ある程度お金をかけていくことも必要ですよ」(横山さん)

家族

ごほうび消費は、事前に「目標」を設定しておくことが肝心

 同様に木原さんも「お金を貯めるということは、お金をどう使うかに密接につながっています」と同調します。

「節約することはもちろん悪いことではありませんが、支出を過度に制限してしまうのも考え物です。散財は貯蓄の妨げになってしまいますが、『ごほうび消費』は大切なことだと思っています。相談を受けたときに、僕自身がおすすめしているのは、貯蓄に関する目標をあらかじめ立て、『ごほうび』を用意すること。たとえば、月々の家計が目標額に収まったら、好きなケーキを買って食べていいなどシンプルなことで構いません。節約ばかりしていると、疲れてしまいますし、ストレスも溜まってしまう。だからこそ、どこかで多少のごほうび消費をすることで、ガス抜きをしてあげることが重要なんです」

 ここで肝心なのが、「目標は事前に設定しておく」ということだそうです。

がんばったからごほうびに

「多くの人が陥りがちなのが、『今日はちょっとがんばったからごほうびにお菓子を買って帰ろう』とか『今月はちょっと仕事が忙しかったから、ごほうびに洋服を買おう』とか、事前に目標を設定せずに、あとからなんとなくごほうびを決めてしまうパターンです。こうやってあとづけの理由でごほうび消費をしてしまうと、明確な基準や目標がないので、ただの散財につながりやすくなります」

「生きたお金の使い」をするためにもルールつくりだけはしっかりとする必要があると木原さんは念を押します

「ルールを曖昧にしないためにも、『毎月いくら節約できたら〇〇をしよう』『1日のノルマを達成できたら、好きなケーキを1個買おう』などいった目標を事前に立てておき、それが達成できたら自分にごほうびをあげるというルールをつくりましょう。そのようにモチベーションの原動力としてお金を使うことで、ただの散財を防ぎ、よりあなたのお金を『生きたお金の使い方』にしてくれるはずです」