今、だしが改めて注目されているのをご存知ですか?うま味成分が料理をおいしくするのはもちろんのこと、最近とくに関心が集まっているのは、その減塩効果。だしのうま味は、減塩のものたりなさを補ううえに、少ない塩分を引き立たせます。おかげで、しっかりとした満足感を得ながらも塩分を手軽にひかえることができるのです。

 とはいえ、ていねいにだしをとることはやはり手間。そこで、だしのプロフェッショナル・中村新さんに、電子レンジで本格だしを手軽につくる方法を教えていただきました。面倒なだしとりから解放される、革命的なプロのテクニックをマスターしましょう。冷凍してうま味を引き出す裏ワザもあわせてご紹介。

電子レンジでつくる本格だし!煮出すよりもうま味がアップ!

電子レンジでつくる本格だし
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 昆布をひと晩水に浸し、弱火でコトコト…が、これまでのだしの常識でした。しかし、中村さんが「いちばんおいしいだしがとれる」と断言するのは、電子レンジを使う方法。

「電子レンジは、素材の内側から均一に加熱し、昆布のうま味成分を中から絞り出すので、8分間電子レンジにかけるだけで、時間をかけて煮出したものより濃厚でおいしいだしになります」

 また、合わせだしをつくる場合も、カツオ節を時間差で加えたり、煮干しを水に浸したりなどの手間は不要といいます。

「昆布と一緒に水に入れてチンするだけです。欲しいときにすぐつくれるのも、レンジならでは。これなら、忙しい朝も手軽に本格だしが楽しめますよ」

基本のレンチン!昆布だしのつくり方

 すべてのだしの基本となるのが昆布だしです。シンプルなスープや湯豆腐などに使うと、だしの豊かな香りとうま味で、より深い味わいに。

【材料(つくりやすい分量)】
昆布…10g 水…1リットル

(1)昆布全体が濡れるよう、さっと水(分量外)にくぐらせる。表面の汚れが落ちた水は捨ててOK

昆布全体が濡れるよう、さっと水(分量外)にくぐらせる。

(2)バットに入れてラップをし、10分おく。昆布の中まで水がしみ込み、うま味が出やすくなる

バットに入れてラップをし、10分おく。

(3)耐熱ガラスボウルに②と水を入れ、昆布が水に浸るようにする。ラップなしで電子レンジ(600W)で8分加熱し、昆布を取り出す

耐熱ガラスボウルに②と水を入れ、昆布が水に浸るようにする。

レンチン!昆布カツオ節だしのつくり方

 和洋オールラウンドに使える合わせだし。昆布とカツオ節を組み合わせることで、なんとうま味が7倍にパワーアップします!

【材料(つくりやすい分量)】
昆布…10g カツオ節…20g 水…1リットル

(1) 『基本のレンチン!昆布だし』のつくり方(1)~(2)と同様にして、昆布をやわらかく戻す

(2) 耐熱ガラスボウルに(1)とカツオ節、水を入れ、さっとかき混ぜて昆布とカツオ節が完全に水に浸るようにする

(3) ラップなしで電子レンジ(600W)で8分加熱し、昆布とカツオ節をザルでこす

ラップなしで電子レンジ(600W)で8分加熱

レンチン!昆布煮干しだしのつくり方

 いっそう複雑で個性的な風味が楽しめるだしです。ニンニクやみそ、バターなどを使った濃厚な味の料理にも相性抜群!

【材料(つくりやすい分量)】
昆布…10g 煮干し…10g 水…1リットル

(1) 『基本のレンチン!昆布だし』のつくり方(1)~(2)と同様にして、昆布をやわらかく戻す

(2) 煮干しは、臭みが出る頭と腹ワタを取り除く(頭はそのまま食べたり、煮物や炒め物などの具にしてもOK)

煮干しは、臭みが出る頭と腹ワタを取り除く

(3) 耐熱ガラスボウルに(1)と(2)、水を入れ、ラップなしで電子レンジ(600W)で8分加熱し、昆布と煮干しをザルでこす

耐熱ガラスボウルに(1)と(2)、水を入れ、ラップなしで電子レンジ

プロのラク裏ワザ!フリージングでさらにおいしくなる冷凍昆布だし

 冷凍庫に入れるだけで効果が。凍る過程で昆布の細胞が破壊され、うま味成分がじわじわと水に溶け出します。さらにレンチン解凍することで、うま味は倍々増することに。

●冷凍法

冷凍・レンジ解凍可能の保存容器に基本の昆布だしの材料を入れ(半量ずつ分けると扱いやすい)、冷凍する

●解凍法

凍った昆布だしの容器のフタをあけ、電子レンジ(600W)でだし汁500mlにつき約10分加熱して解凍する

中村 新さん
【産業フードプロデューサー 中村 新さん】