“家計簿が続かないから貯まらない”、“家計簿をつけてないので、ムダなお金の流れがわからない…”。もしかして、家計簿をつける習慣がないせいでお金が貯まらないと思っていませんか?
「貯蓄ができないのは、家計簿をつけてないことが原因でなく、じつは使っていい金額を把握していないからです」と語るのは、ファイナンシャルプランナーの下村志保美さん。家計簿をつけなくても、通帳をスマートに月一度活用することで、貯めることができるといいます。詳しいやり方を伺いました。
通帳を月一度チェックするだけで貯める習慣に!把握すべきは、使っていいお金
家計アドバイザーという立場上、家計簿が続かないというお悩みをお持ちの方から、よくご相談を受けます。話を聞いてみると、その原因はだいたい以下の3つのパターンになるようです。
1.「きちんとつけよう」としすぎる
2.「あとでつけよう」と後回しにしてしまう
3.つけ方がよくわからないまま放置してしまう
そもそも家計簿が続かないというのは家計簿をつけることが苦手だし、好きではないから。ずぼらだからダメ、ということではありません。苦手で好きでないことを“きちんと”やろうとするからうまくいかないのです。
ではそもそも、なぜ家計簿を始めようと思ったのでしょうか。まず基本に立ち返って、「家計簿をつける目的」をもう一度考えてみましょう。
●家計簿をつける目的は?使ったお金を書き残しても意味はない
あなたはどうして家計簿をつけているのでしょうか? じつは家計簿をつける目的(ゴール)は、支出を完璧に把握することではありません。徹底的に節約をすることでもありません。ほとんどの方にとって、ゴールは、毎日を快適に過ごすこと、そして、将来もずっと安心して暮らすための「蓄えとお金のゆとり」です。つまり、「蓄えとお金のゆとり」ができれば、家計簿にこだわる必要はありません。
使ってしまったお金を一生懸命計算してもお金は増えません。ムダ使いであろうが価値ある使い方であろうが支出は支出。「お金を貯める」ためには内容は関係ありません。「いくら残ったか」だけが大切なのです。
お金の流れを把握するために生活費を管理する通帳を活用してみよう
お金の流れがわかる基本中の基本が通帳です。生活費を管理している通帳を見てみましょう。
たとえば、サラリーマン家庭であれば直近のお給料日の残高から、その前の月のお給料日の残高を引いてみましょう(※自営業の方であれば月末を基準に)。
その数字がプラスであればお金が貯まったということであり、マイナスであれば赤字だったということ。お金を貯めたければこのプラス分をどんどん増やしていけばいいのです。
●通帳を使って固定費と「使っていいお金」の量を知る
ではこれをプラスにするためにはどうすればいいでしょうか?
まずは生活費から毎月必ず出て行く金額=固定費を把握します。固定費には家賃や住宅ローン、光熱費、通信費、教育費、保険料などがあり、それらの合計金額を出します。これらは口座引き落としの場合が多いので、通帳を見れば金額がわかります。きっちりした金額でなくてもかまいません。「12、3万かな?」と思ったら「13万円」と考えましょう。
固定費はすでに支払いが決まっているので、自分で節約することができない金額。クレジットカードの請求が来ていればそれも加えます。この金額を次に入ってくるお給料の金額から引きます。
残りが来月使えるお金です。来月使えるお金が見えてきたらいくら貯蓄したいのか決めます。
2万円貯めたいなら、来月使えるお金から2万円引いた金額が、来月使っていいお金です。
使っていいお金は食費、雑費、娯楽費、(高額でない)医療費などに使います。これらは自分でやりくりができる金額ですし、使いきったとしても貯蓄はできます。
「使っていいお金=予算」です。
「予算をオーバーしない」ことだけを守れば、貯蓄は確実にできます。
使っていい金額を把握さえすれば、家計簿をつけることは必要ないことがおわかりいただけるかと思います。
●家計管理は月に一度通帳を見るだけ!
最後に、大切なことをもう一度振り返りましょう。
1.月に一度だけ、「使っていいお金=予算」を計算します。
2.「予算をオーバーしない」ことを守って生活します。
3.一か月後、「直近の給料日前残高」から「前月の給料日前残高」を引いた額が「貯金額」です。
これがいくらプラスになっているか、この確認は月に一度でも大丈夫。それが月に一度の楽しみ、と思えるようになると支出を控える励みに。苦手な家計簿をつけなくても通帳だけで家計管理はできます。
まず通帳を見て、「固定費」「来月使えるお金」「貯金額」を計算してみてください。それで家計は把握できます。家計簿をつけなくてもこれで大丈夫ですね。