電力自由化という言葉は知っているものの、半年経った今も、会社を切り替えるまでに至る人はまだまだ。経済産業省が調査をしたところ、変更しない理由として、「メリットがよくわからない」(44.0%)「なんとなく不安」(37.3%)と、自由化についての不安感や理解不足を訴える人が多かったようです。とはいえ、「乗り換えて、実際に○○円節約できた!」なんて話を聞くと、やっぱり気になりますよね。そこで、電力自由化のポイントをQ&Aにまとめてみました。質問に答えてくれたのは、電力自由化のプロ、巻口守男さんです。

明るい家庭
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プロに聞いた電力自由化のポイント!Q&A

Q1:マンションやアパートでも乗り換えできる?

A:

マンションなどの集合住宅に住んでいても、個別に電力会社と契約している場合は、自由に電力会社を選んで切り替えることができます。

「ただし、マンションのオーナーや管理組合が電力会社と一括で契約している場合は、一世帯だけの変更はムリ。電力会社の変更を希望するなら、一括の契約から個別の契約にできないか管理組合などに相談をする必要があります」

離島の自宅

Q2:離島や過疎地でも電力会社を選ぶことはできますか?

A:

新電力会社は、供給エリアを限定しているところと全国広域に供給しているところがありますが、人口の多い関東や関西に集中気味。ほかの地域は会社数で劣り、過疎地はよりその傾向が、どうしてもあります。

「離島の場合、さらに新電力会社が参入しにくい状況ですが、今後、風力や太陽光など自然エネルギーの発電事業が登場する可能性はあります」

Q3:停電しやすい会社ってあるの?

停電

A:

「電力自由化で、多くの会社が参入していますが、電線などの送配電網は既存の電力会社(送電会社)が管理しているため、どの電力会社と契約しても同質の電力が安定供給されます。そのため『A社は停電しやすい』などということありません」。

 自然災害などで電柱が倒れたときは、電気の供給自体できなくなるので、地域一体が停電になり、送電会社が復旧させることに。

Q4:オール電化のプランに加入しています。乗り換えで注意すべきことは?

A:

既存の電力会社は、電力自由化で従来のオール電化プランの新規加入を停止し(すでに加入している場合は2020年3月まで継続)、新プランを設定しています。

「しかし、オール電化の電気料金は、もともと安く設定されているため、現時点では新プランに変更しない方がいいケースがほとんど。新電力会社でオール電化のプランを出しているのは、九州エリアの1社のみです」

 一度乗り換えてしまうと、もうこれまで契約していたオール電化プランには戻れないので、慎重に考えましょう。

【質問に答えてくれた人/巻口守男さん】

電力比較サイト・エネチャンジ

副社長。消費生活アドバイザー。約40年にわたる電力業界の経験から、電力自由化の解説や講演活動を行う。『いっきにわかる!電力自由化』(洋泉社刊)を監修